メシ活缶詰
──プロメポリスで起きた事件から数日も経って──最初と比べて棘は柔らかくなった。ガロ青年の一声もあるだろうけど、我々の誠意ある努力の甲斐もあってだろうと思う。少なくとも、私はそう思いたい。
雑貨屋で、缶詰のラインナップを見る。中々充実している。
「まだ決まらねぇのかよ」
「まだ」
「これとか美味かったぞ」
「あっ」
ガタンと缶詰の一個がカゴに入る。あれからちゃんと働いた分だけお金を得られるからか、ゲーラとメイスの二人は街の色々な保存食やインスタント食品などを食べることにハマっていた。私はといえば、新鮮な材料で料理を作ることだけど。
なので缶詰に関しては二人の方が詳しいとは思うが。
「これ、辛すぎない?」
「あ? ちょうどいい辛さだったぞ」
「ゲーラにとってはね」
「メイスも食ってたぞ」
ぐっとなにもいえなくなる。この事実だけは、ゲーラに知られたくはなかったのに。
「女の舌ではこっちなの」
と甘いのを選んだ先に、横で別の女性がゲーラの選んだものを手に取る。そしてレジに向かう。
「今、買っていったぞ」
「知ってる」
「やっぱりお前、辛いものが」
「ハバネロ振りかけたポテトチップスくらいは食べれるもん」
そういって、中くらい辛いのを選んだ。