【R-15】例の部屋(どんどはれえ)

 詳細を省くが、例の部屋に猿投山と文月が入った。有名な都市伝説である。ある日扉を開けると、必要な物が揃った部屋に通され、提示された課題をクリアしないと永遠と出られない部屋である。中には、課題をクリアできず一生出られなくなった者もいるという。──なのに、なぜ『出られなくなった者』が都市伝説の中へ語り継がれているのか? それは、いなくなった知人の行方を捜して関連性を手繰った結果『その可能性が高い』と証言した生き証人の発言があるからである──。とはいえ、例の部屋だ。しかも課題は【セックスしないと出られない部屋】あまりにもド直球すぎる。猿投山は興奮し、文月は部屋を不審がる。「もしかして、ここに隠しカメラがあるんじゃ?」と捜査し始める文月を余所に、猿投山は興奮収まらぬ声でいった。「そんなことより、セックスしようぜ」と、これまたド直球に。普段の文月なら「はぁ?」「ふざけているんですか」と返すところだが、今回は沈黙である。グッと口を閉じ、顔に熱を集めている。真っ赤に火照ると「そ、そうですね」と気持ち同意を送った。つっけんどんな態度から、ようやく捻り出した素直な気持ちである。これに猿投山は良しと見て、文月と一緒にベッドへ雪崩れ込む。「どうせなら、もう少し探索してから」と部屋の家具に視線をやる文月に「いいだろ」と猿投山は乱暴に返す。文月の首に吸い付き、服の上から身体を触る。「んっ」「ふぁ」と上擦った声を文月が漏らし始めると、薄く開いた口を猿投山が自分の口で閉ざし始めた。粘着質な音が生まれ、吸着する音も生まれる。猿投山の手で服が膨らみ、下で動くたびに「あっ」「うぅん、はぁ」「やっ」と文月の鼻にかかった声が漏れた。濡れ場も盛り上がる。互いに裸に近い状態まで服を開けると、猿投山が文月の上に乗った。跨り、腰を沈める。文月の足がピーンッと伸びあがったと思いきや、へなへなと落ち始めた。猿投山の腰が動く。文月の爪先が、ギュッとシーツを握り締める。はぁはぁと荒い息に混じり「んんっ」「あぁあ」「うぅ」「やぁ」と甘く上擦った声が猿投山の下から響いた。逃げ場を求めるかのように、文月の身体がうねうねとシーツの上を泳ぐ。その逃げ場を失くすかのように、猿投山がガッシリと文月の身体を押さえた。頭部を抱える。嫌々と首を振る文月の顔が自分へ正面を向けると、すかさずキスをした。唇を合わせ、舌を絡める。酸素を求めるように唇だけ離すと、舌を絡めた状態で文月が軽く意識を飛ばした。ピンッと身体が海老反りになる。猿投山の入っている部分がキュッと甘くキツく締まるものの、絶頂まではほど遠い。遺伝子を求める最中、猿投山は腰を動かす。受容器の一番イイところを擦られ抉られ続けているからか、文月の身体の動きがさらに激しくなった。ビタンビタンと、まな板の上の魚のようである。だが捕食者の目をした猿投山が、まな板の上から一切逃がさない。自分の四肢を使って文月を閉じ込めた。互いの絶頂が近くなる。濡れ場が最高潮に達しようとしたとき、バタンと扉が開いた。
「はっ?」
 一気に冷める。猿投山の猿投山は気持ち硬さを保っているものの、身体は完全に平熱へ戻った。「はぁ?」とまた猿投山は声を出す。信じられないように、ジッと開いた扉を見続けた。中で柔らかくなる猿投山の物と猿投山の見つめる先を見て、文月も事態を把握する。「あぁ」と頷いて、息の荒いまま身体を動かした。ズルリ、と猿投山のものを腰を動かして抜く。小さくなったから抜きやすいものの、挿入の気持ち良さは伝える。「んっ」と小さく声を漏らして、文月は身体を自由にした。開けた服を整える。
「まぁ、出られたようなら、はぁ。良かったじゃないですか」
「おい、待て。まだ途中だぞ!? これからじゃねぇか!!」
「でも」
 ついっと文月の視線が猿投山の股の頂点に向かう。
「先輩の先輩のは、落ち着いているようだし。今は、いいんじゃありません?」
「こ、このままじゃねぇ!! も、もう一発と行こうぜ? まだ出してもねぇし、お前も満足してねぇだろ?」
「いえ、結構です。時間が経てば回復しますし」
「いやいやいやいや、んなわけねぇだろ!?」
 と必死に猿投山は止めようとするが、文月は聞く耳を持たない。脱がされたショーツを拾い、腰まで履く。さっきまで結合していた部分を覆うと「はい」と猿投山に落ちていたものを渡した。
「先輩も、さっさと着てください」
 にべもない。頬は蒸気し、身体に熱は残り、体臭には興奮した雄の生臭さが残っている。それに発情した雌の匂いも混ざっていた。(一発でバレるだろ)(ならこのままヤッちまった方が後々いいだろ)と猿投山は思うものの、この状態だと聞き入れてもらえないだろう。「おう」とだけ悲しく返す。
「けど、お前もあとで流した方がいいぜ? 結構残ってるからな。さっきまでヤった匂いってヤツが。なんだったら、一緒に入るか?」
 そう腹癒せで耳元で挑発したら、文月がキレて攻撃を加えてきた。そのまま、血と埃の舞う戦闘へと乱入する。極制服の模擬戦闘だ。どんどはれ。


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