朝焼け

 東の空が明けてくる。あ、人間。こんなに明るかったんだな、と寝惚けの頭で考えた。
(とても眠い。まだ眠い)
 けど喉が渇く。とりあえず、一旦飲んでから考えよう。スマホ眺めるのもありだし。あっ、ゲーム。そう考えてたら、グイッと引っ張られた。先輩だ。いっておくが、お互い服を着ている。寝間着だけど。だから今回、手は出されていない。一緒の布団で寝た理由については、未定。よく覚えてない。
 先輩の方は目覚めが良いのか、ゆっくりと重く瞼を上げていた。
「ぁ? ぇえな、めっ」
(寝惚けてる)
 なにいってるんだ、コイツ。とを示すツッコミが出てこない。こっちだって眠い。先輩がグリグリと額を腰に押し付けるものだから、クシャクシャと先輩の髪を撫でてみる。ちょっと硬い。ごわごわしてないが、毛髪の質に硬さを感じた。そういえば、撫でてみる機会がほとんどない。
(お互い、撫でてみる機会なんてなかったしなぁ)
「ん」
(先輩の頭、こうなっていたんだ)
 毛髪に指を潜らせて、頭蓋骨の頭を触る。そうして撫でていると、先輩が寝惚けながら「千芳」と、呼んだような気がした。明確にはわからない。なぜなら、声が掠れているし、まだ寝惚けているからだ。ぐりっと、一際強く額を押し付けてくる。
(あー、もしかしたら。普段から照れてできないかも)
 しかも背が高いし。撫でようとして背を伸ばしても、届かない。せいぜい先輩の肩か首くらいだ。腰からお腹へと、先輩の顔が移る。人のお腹や足を、枕代わりにしてほしくない。私も寝たい。
 チラッと近くにあるペットボトルを見る。確か、先輩が寝る前に置いたものだ。市販の、コンビニに並んでいるようなもので、別に変なのは入ってない。逆に入ってたら困る。まぁ、間接キスになるけど、いいや。
 代わりに先輩の飲みさしで喉を潤してから、寝た。


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