「早川、お前なんでそんな不器用なの。」

長めの髪をかき上げながら、森山がぼやく。

「できないもんはできないっす。」

唸る早川の手には、いつまでたっても使いこなすことのできないコントローラがあって、そうしている間にも、森山の手は華麗にコントローラを操作している。

「あーほら、また死んでんじゃん。」

画面には、無残な姿になってしまっているキャラクターがいる。

左右の手を別々に使い、画面を見て、戦略を立てるだなんてことは、いささか早川にとっては難易度が高すぎたようだ。

そうこうしているうちに、森山はすんなりとステージをクリアしてしまう。

「そんなに慌てなくても。」

本気で慌てている早川を見て、森山はくくくと笑い声を漏らす。

「あ゙ーもうっ、ゲームなんてキライっす」

何度やっても馴染んでくれないコントローラを放り出して、そのまま床にひっくり返る。

「なんで森山先輩はそんなにゲーム上手いんすか。」

唸りっぱなしの早川に、さらりと答える。

「そりゃ、これ俺のゲームだしな。」

当たり前のことすぎて、返す言葉も見つからなければ、続ける言葉も見つからない。

森山もゲームを片付けて床に寝転がる。

「ま、不器用なとこもかわいいんだけどな。」

真顔を作ってそう言ってみるものの、早川があまりに過剰な反応をするものだから、ついおもしろくなって笑ってしまう。

「お(れ)がかわいいとか、も(り)やま先輩の頭が心配にな(り)ますよ。」

顔を赤くしながら捲し立てる早川の頬に、ラ行言えてねーぞ、と言いながら口づける。

その赤い顔をさらに赤くして、長い手足を丸めて小さくなっている早川に、続けてけしかける。

「キスもなかなか上手くなんねーしな。」

早川に覆い被さって強引に唇を奪う。

「んっ」

森山は巧みに早川の舌を掬い上げ、その付け根を強く吸う。さらには綺麗に並んでいる白い歯列にまで舌を這わせる。

そんな森山のキスに早川はなすがままで、ただただその快楽を享受する。

涎を飲み下せなくなるほど激しいキスは、とても気持ちよくて、幸せで、そして、一方的だ。

それでも、愛しくて愛しくてたまらない。

それはお互いに同じな様で。

早川の短い髪を撫でながら、少し体を離す。

「ちょっと待ってて」

立ち上がり、部屋の電気を消して、ついでにカーテンまでも閉ざしてしまう。

部活がなかったから、放課後にそのまま森山の家に来ているとはいえ、夕日も電気もないとなると、部屋は不健全な薄暗さになる。

ぼんやりと薄暗い部屋で、カーテンの隙間から漏れる一筋の光が、体を起こした早川の顔に差し込む。

その顔が赤らんでいるのは、夕日のせいなのか、はたまた森山のせいなのか。

「早川、おいでよ。」

ベッドに腰かけた森山は、普段の軟派な態度とも、コートでの凛々しい雰囲気とも違う、優しくて妖しい笑みで早川を誘う。

その妖艶な森山を拒むことなどできなくて、早川はふらふらと立ち上がると、森山の隣に腰をおろす。

「好きだよ」

バードキスを早川の頬に与えると、流れるように早川をベッドに沈める。

こういうとこ、慣れてるってカンジだなぁ、なんて思いながらその動きに身を委ねる。

「なんで、んな顔してんですかっ…」

欲望と愛情の織り混ざった濡れた瞳。

その目は早川の欲望をも揺らす。

自然と互いの顔が近づいて、そのまま当然のように唇を重ねて、舌を絡ませる。

階下には森山の家族がいるとか、明日も朝練があるだとか、いろいろなことが全てどうでもよくなる。

それくらいに情熱的で巧みなキス。

早川はそのキスに身を委ね、溺れていく。

口腔を余すことなく荒らしまわる森山の舌によって、少しも触れられてはいないのに、早川自身は確かな熱をもって勃ちあがり始める。

「んっ」

口を塞がれたまま、自身の昂りを意地悪く脚で刺激されると、早川の喉からくぐもった声が上がる。

そんな弱い刺激では足りなくて、ついに自ら森山の脚に押し付け始めた早川を見て、森山はようやく長い長いキスを解く。

「ふふ、足りない?」

森山が上げた笑い声は早川の羞恥心を刺激して、その体を強張らせる。

そんな様子にも森山は笑みをこぼし、その顔を欲望に染めながら、早川のベルトに手をかける。

「下、親いるから声我慢な」

クスクスと早川の口元に人差し指で触れると、露になった早川の昂りに口をつける。

「んっ、ぁ…っ」

わざと強く感じるところを避けて触れてくる舌は、とてももどかしくて。

「っ、せん、ぱい…」

早川は自身の昂りに舌を這わせる森山に静止をかける。

「なに?」

気持ち悪いくらいに爽やかな、この場にそぐわない笑みを早川に向ける。

「あの…その…」

おもしろいくらいに口ごもる早川に、尚もその微笑みを向け続ける。

ちっとも話の進まない早川に、ニコニコしながら森山は口を開く。

「どうしてほしい?言わねーとわかんねぇよ?」

うっ、と早川は言葉を詰まらせる。

相変わらずの表情を浮かべたまま、先ほどと同じように、さわさわと弱すぎる愛撫をする。

「なぁ、どうしてほしい?」

その笑みを崩し、ニヤニヤと意地悪く笑う。

「うぅ………」

半泣きになってしまった早川に、全く誠意のこもっていない謝罪を述べながら、震えている早川自身を強く握りこむ。

「ひっ!?」

急すぎる直接的な刺激に、みっともない声を上げる。

森山は笑うと、静かに、と言って今度こそ早川の昂りを激しく責め立てる。

「んっ、んーっ…っあ、っ」

裏筋もなにもかもを捉えてくる的確すぎる愛撫は、先走りと噛み殺した喘ぎ声を溢れさせる。

「んっ…ぁっ」

今にも達してしまいそうになって、必死で堪える。

やはり何度体を重ねても、森山の口に精を吐き出してしまうのは慣れないし、できることなら避けたいものだ。

その時。

「------------よしたかー?あんたご飯はー?」

階段下からの母親の大声は、二人の心臓を止めそうになる。

「よしたかー?」

返事がないものだから、森山の母親はもう一度大きな声を出す。

「あー、後から食うよー。今忙しいんだー」

森山も階下の母親に届くように声を張り上げる。

早くねーと言い残して、母親の声は聞こえなくなった。

「びっくりした。」

心配そうに、そして少しの笑いを含みながら早川を見ると、早川はすっかり怯えてしまっていた。

「今日は…もう、やめませんか…?」

震えながらそう口にして、組み敷かれたまま森山を見上げる。

「やだね。」

必死の訴えは意地の悪い微笑みと言葉で一蹴される。

「え、でも…」

「だって、俺、こんなんなってんだよ?」

反論の言葉を言い終える前に、森山は自身の熱い欲望を早川の太ももに押し当てた。

「な?だから、やめてあげらんない。」

耳元で囁かれ、早川は思わず身震いをする。

何の抵抗もできないまま下衣が取り払われ、硬く閉ざしている蕾に口づけられる。

「あっ…」

つい声を上げてしまい、早川は慌てて自分の口を塞ぐ。

ニヤリと笑う森山の顔が見えることはないが、ニヤニヤと早川の下肢に顔を埋め、そこにある秘所を解きほぐしていく。

「せん、ぱっ…ぁっ、んっ」

細く長い森山の指は、確実に早川の感じる部分を捉え、わずかに残っていた抵抗の意思を、見る影もなく砕いていく。

「ふっ、…んぅ」

突然その愛撫が途絶え、すっかり上がってしまった呼吸を整えようと息をすると、カチャカチャと森山がベルトを外す音がする。

思わず目を開いてしまって、その視界で硬く張りつめていきり立っているモノを捉えてしまう。

その昂りから目が離せなくなって、無意識に喉が鳴る。

「欲しい?」

そんな早川の様子を笑いながら、その返事を聞くこともなく、猛った自身を押し当てる。

荒々しい欲望の塊を、優しく早川のナカへと沈めていく。

「んっ、あっ…やぁっ…」

声の大きな早川のために、森山は自分の服を脱いで、その口に噛ませてやる。

巧みすぎる森山の腰使いは、早川を、さらには自分自身さえも追いつめていく。

「んーっ、っ、あぁっ…ぁっ」

服を噛んでいるはずの早川の口からは、森山の突き上げに合わせて、快感を訴える声が漏れてしまっている。

さらに、早川の先端から溢れ出す白濁を塗り込めてやると、一層艶やかな声が上がる。


-----------コンコン---

「由孝?いい加減にしなさい?充洋くんの分もあるわよ?」


嘘だろ?

ノック音と母親の声に、二人の動きが止まって、今度こそ心臓が止まりそうになる。

幸いにも、母親は部屋のドアを開けるつもりはないようで。

「由孝?」

とはいえまずい。まずすぎる。

すっかり青ざめてしまっている早川の髪をなで、自身の唇に指を当てる。

そして、ニヤリと笑うと、母親に返事をするより先に激しい律動を再開する。

「------んっ!?」

早川の抵抗などお構いなしに腰を動かし続けながら、ようやく母親に言葉を返す。

「もう少ししたら行くって」

その間にも休むことなく抽挿は繰り返され、与えられる快感が早川を苦しめる。

「はいはい。なるべく早くね。」

「わかったよ」

母親が階段を降りていくのを確かめて、早川に問う。

「気分はどう?」

ニヤニヤと体をまさぐってくる森山を睨み付ける。

もし部屋に入って来ていたらどうする気だったのか。

「最悪です」

その目線を軽く受け流し、もう一度腰を動かし始める。

森山が埋め込んでいるその昂りは、容赦なく早川の最奥を穿つ。

「んっ、ぁっ…っ、あぁっ…ふっ、んっ」

ついに堪えきれなくなって、ぶるりと震えながら熱を吐き出すと、森山の熱い体液が流れこんでくるのがわかる。

「好きだよ。」

ちゅっと頬に口づけられると、森山は手早く後始末を始める。

余韻に浸る暇もないことよりも、今から母親の目の前で食事をしなければならないことが気がかりだった。



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いやー、親フラwww

親フラって怖いですねーwww


長らくお待たせして、申し訳ありませんでした

お待ちくださっていた方々がいらっしゃるのかは不明ですがw

これからも引き続きよろしくお願いします。

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