黒子には大きすぎるTシャツは火神の手によって奪われた。

「火神くん」

互いに上半身裸のままで。

「ん?」

「あのTシャツ、とても火神くんの匂いがするんですよ。」

微笑みながらそう言うと、あたりまえだろ、と。

「Tシャツなんかより、俺の方がいいだろ?」

ニヤリと笑った。

「はい。」

くすぐったそうに笑うその顔に口づけると、火神の唇はだんだんと下へ下がっていく。

白い首。

やわらかな温もりに、紅い跡を残す。

俺の黒子。その証を散りばめる。

「…っ、あっ…」

火神の唇が胸の飾りに触れる。

舐めあげて、吸い上げて、転がして。

その度に黒子からは甲高い声が上がる。

「や…あっ………んっ」

慌てたように口を塞ぐ指の隙間からは、抑えきれない甘い声が漏れる。

「なぁ黒子、お前の声聞かせてくれよ。」

強情なその手をとり、優しく諭す。

「…恥ずかしい、です。」

「俺しか聞いてない。」

指が腹を伝う。

「…っ、火神くんだから恥ずかしいんです。」

火神の手が半ば勃ち上がりかけていた黒子自身に触れる。

「やぁっ…」

「嫌?」

黒子の弱々しい抵抗を無視して二,三度擦り上げると、いとも簡単に火神の手に全てが委ねられる。

トロトロと溢れ出す先走りは、火神から借りた下着を濡らす。

「んっ……やあっ…あ…」

為す術もなく追い上げられる黒子自身。

「…………ぁ、イく、イくっ」

「イけよ。」

「くっ…ぁ、あぁっっ」

早くも黒子は一度目の絶頂を迎え、下着ごと火神の手を濡らした。

「す、すみませんっ」

一瞬の余韻のあと、すぐさま己の失態に気づき、火神を見上げる。

「なんで謝んだよ。」

手を引き抜くと、火神は手についた黒子のソレを舐め上げた。

「か、火神くんっ、何やってるんですかっ」

紅く上気した頬と、快楽に潤む瞳は、火神の本能を駆り立てる。

一気に残りの服を剥ぎ取ると、イったばかりの黒子自身は体液にまみれている。

一度唇を重ねると、火神の唇は黒子自身をとらえる。

「か、火神く、……んっ」

火神の舌は不器用に、愛を持って自身に絡み付く。

「あっ、…ゃ、……んっ」

舌が裏筋に触れると、トクりと白い体液が溢れる。

先ほど達したばかりのそれは、すでに硬くはりつめていた。

火神の指は竿を伝う体液を掬い上げ、黒子の蕾に触れる。

「あっ………」

つぷりと埋め込まれた指先に、黒子は息を飲む。

「大丈夫か、黒子?」

「………はっ、はい。………んっ」

恥ずかしさと愛しさに黒子は身動ぎする。

探るように入り口を行き来する指。

「ふ…ぅ、あっ………」

「痛いか?」

ふるふると黒子は首を振るも、初めてのその感触をどうとらえていいものか、計りかねていた。

痛いのか、苦しいのか。

はたまた気持ちがいいのか。

「あっ、あぁっ……」

長く骨ばった指が、奥まで埋め込まれる。

黒子の中で蠢く指は、確実に快楽を与える。

「やめ、やめてくだ…あっ…んっ」

「悪ぃな」

火神の指が、前立腺をとらえる。

「あっ、あっ、あぁっ…やぁっ…」

一段と高くなった矯声に、火神は黒子を覗き込む。

「ここ、イイのか?」

「…ゃ、やめてっ…んっ」

未知の快感に、黒子は会話すらままならない。

「すげぇ締め付けてる。」

くすりと笑うその笑顔に、黒子は目を奪われた。

「だっ、だって…」

「だってなんだよ?」

余裕そうな火神の笑みは、なんだか憎たらしかった。

「火神くんが指なんか入れるからで……んっ!?」

言い訳をし終わらないうちに、二本目の指を押し込まれた。

「痛いか?」

そう言いながら二本の指をバラバラに動かされると、黒子は堪らずにさらにその指を締め付けた。

「あっ…ふぁっ……ゃ、ぁ…」

声が止まらない。

黒子を乱していた、火神の指が引き抜かれた。

息の整わない黒子に、火神は言った。

「もう、いいか…?」

指の変わりに蕾に押し当てられたのは、熱い熱い火神自身。

「は…はい………」

怖さ半分、愛しさ半分。

いや、愛しさの方が勝っているのだろう。

猛々しい火神自身を、呑み込むべく健気に息を吐く。

「いくぞ…?」

「…………あぁっ、……あっーーー」

入り口に当てられたそれは、少しだけ先を埋めてきたかと思うと、一息に黒子の中を貫いた。

目から涙が溢れる。

「悪い黒子…痛いよな…」

心配そうな声。

余裕がないのは黒子だけではない。

そう思うと、自然と体の力が抜けた。

「…痛い、ですけど、……大丈夫です…から…」

必死に答えた。

熱い火神自身を直に感じると、なぜだか嬉しくて涙が出た。

「ほんとにごめんな。」

優しくその涙を拭ってくれる。

「謝らないで下さい。ボクは火神くんとひとつになれて嬉しいんです。」


くしゃりと微笑むと、火神の顔にも微笑みが戻った。

「動くぞ…」

もうわけがわからなかった。

痛いのも苦しいのも全て忘れて、強い快感だけが黒子を襲う。

「あっ、あ…あぁっ、ふ」

火神の与える快楽に溺れながら、黒子は思う。

火神を巻き込んでよかったのか。

男同士。

周りからは何を言われるのか、考えたくもない。

本当に------

「黒子」

「は、はい…ぁ」

穿つ速度を緩めずに、火神は尋ねる。

「お前…今関係ねぇこと考えてるだろ」

「ふぁっ…ぁ、ゃ」

その通りで。

弱々しく首を振り、火神の言葉を否定する。

「もっ、イくっ…ぁん」

中が今まで以上に締まり、火神自身も追い込まれる。

「……あっ、んっ…や、あぁっ-------」

瞬間、白い液体は火神と黒子を汚す。

ほぼ同時に黒子の中にも、熱い体液を注ぐ。

「…はぁ、はぁ…はぁ…」

途切れ途切れの息に、快感の強さが滲む。

自身を黒子の中から引き抜くと、ゆっくりと体を横にする。

「なぁ黒子…」

その逞しい腕に抱き寄せられながら、火神の瞳を見る。

「…好きだ。」

照れくさそうに笑うその姿に、黒子も自然と微笑んだ。

「はい、僕もです。」

黒子からもう一度唇を重ねると、そのまま深い眠りの中へ落ちて行った。

まだ日が昇るには時間がある。

今日の練習は午後から。

気の済むまで寝ていよう。

黒子の髪に触れながら、火神もまどろみに身を委ねていった。





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初めての黒子と火神。愛に溢れててかわいらしいです。
乱暴なくせに紳士とか、最高です。



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