ハッ、と目が覚めた。もそもそと手を伸ばして携帯を取って時間を見れば4時33分。うっわ、微妙。パタンと携帯を閉じて伸びをする。余りにもパッチリと目覚めてしまった。ボサボサな髪の毛に特に意味もなく指を通したら引っ掛かった。イテテ。
「ん……」
そんなことをしていたら、隣で寝ている貴志が寝惚けた声で私の名前を呼んできた。しまった、起こしたか。
「…起きた…のか…?」
「うんそれ私のセリフだね。ごめん、貴志、起こしちゃった?」
私がそう言えば、ん〜と言いながら布団の中で身動ぐ貴志。可愛いな。
「どうしたんだ?」
「ん?」
「怖い、夢でも見たのか?」
ボスン、と布団に寝転がる私に問い掛けてくる貴志はまだ呂律が回っていない。そんな貴志に愛らしさを感じながら、見た、と一言貴志の方を見ながら呟けば、貴志と目線が交わる。そのまま体ごと貴志に向けて、貴志と見詰め合う。何この状況。
「怖い夢、見たのか…どんな?」
「…何か、ちっちゃいオッサンが大量発生して…めっちゃ野太い声で意味の分からない叫び声出しながら追いかけられる、夢」
「………………そうか」
ありのままを話せば、貴志が目を伏せた。呆れられたな、うむ。こんな時普通だったら、貴志がどっか行っちゃう夢とかそういうキュンってなる事をさ、言うべきなんだろうけど実際そんな夢見てないから仕方ない。
でも見ないわけではないよ。私だって見る、貴志が妖怪に食べられちゃう夢とかね。物凄く怖いんだ。そういう時、いつも真夜中だから余計にね、怖いんだ。貴志が隣に居ないから生存確認できないじゃん。
そう考えると今日の夢は良かったな。いや、物凄く怖かったけど。ちっちゃいオッサンが大量発生は半端なく怖い。
「貴志が居てくれてよかった」
あんな気味悪い夢を一人の時に見ていたらきっと暫くちっちゃいオッサンがその辺に居るんじゃないかとか思ってしまうから。
貴志が居るから、何か怖くなくなってきた。
「貴志、ありがとう」
あれ、これ完璧私電波じゃない?
「もう、怖くないか?」
「うーん、…まだちょっと怖いかな」
私が苦笑混じりに言ったら、やっぱり貴志も苦笑して、そして優しく微笑んで私の名前を呼び、腕で掛け布団を少しだけ上げた。
「おいで」
そう言われて貴志に寄ればフワリと抱き締められた。あったかい。
「何か、貴志の声聞いたら凄く安心した」
「そうか」
「大好きだよ」
よし、もう一回寝るか。
110226
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