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見知った顔が、カラカラ車輪の音を響かせて自転車をひいていた。

「…あれ」「…なんだよ」「なんでいきなり?」「別に。気分だ気分。」「ふーん」

ヨーグルッチを飲むはじめと並んで、校門まで歩く。
にしてもやっぱり気になる。今日に限って自転車登校なんてどうしたんだろう。運動したくなったわけでも遅刻を気にしたわけでもないだろうし。

「それに車で送迎してもらえるだろうしね」「それにって何だよ。あと俺の家は玄関での見送りまでだ」「どこぞの高校教師とそっくりだね」

某ドラマの主人公を思い出しながらくすくす笑った。はじめはそうだなって、適当に返事して紙パックを放り投げる。見事ゴミ箱にパコンて転がった。

「じゃあねはじめ。事故っちゃヤだよ」「なあ」

先を歩こうとしたら、呼び止められた。

「乗る、か?」「へ?」「送る。途中までだけどな」「いいの?」

サドルに跨って後ろを指さしてる。どうやら座れってことらしい。

「2ケツとか、浪漫だよね」「女がケツとか言うな。…ちゃんと掴まっとけ」

言われた通りはじめの腰に腕を巻き付ける。チャリチャリと音を立てて自転車はゆっくり走り出した。
広くて温かい背中に凭れながらそっと目を閉じた。時間がゆるゆる流れていく気がして。なんだかいいなって。

頭の隅ではやっぱり、なんではじめは自転車に乗って来たんだろうなんて考えてたけどね。



君と自転車に乗ってどこまでも走っていきたいんだなんて、


(言われたらときめくんだろうなあ…)
(…恥ずかしくて言えるわけねえよなあ)




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