6.人でなし
その晩、ここに来て初めて丸一日の休みを貰った。
けれど、体のあちらこちらが痛くて殆ど眠ることは出来なかった。
俺に折檻をした三人はその責任なのか、
または仕事だからなのか、
食いっぱぐれた夕食を持ってきてくれたり、
水を持ってきてくれたり、
着替えを手伝ってくれたりしてくれた。
驚いたことに、上位遊女の出雲までが訪ね来てくれて、
「薬じゃないから、傷には利かないけど」
と液体の清涼剤をくれた。
それを熱を持った箇所に塗ると、
ようやくおちついて、睡魔がやってきた。
嫌な夢を見ていた。
多くの何者かに押さえつけられて、
目の前に輪郭がぼやけてはっきりしない弟と、
その隣にいる雪男がいて、二人に近づこうもがくが出来ず、
大声で呼び付けるも、気づいてもらえず。
女将の言ったあの言葉だけが、世界を支配していた。
―――お前は、一生誰からも相手にされない身であることをよく知っておくんだね
最後には、俺まで幼い頃の自分になっていて、
その何者か分からない連中に、引きずられて弟からも雪男からも遠ざけられていた。
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