ここはとある市内のマンション。そのマンションの一室に住む一人の学生…石田三成は高校生である。(高校生でマンションに住めるなんて金持ちなのだろう。)

外は晴れ晴れしい天気の朝だが、部屋主の三成はベッドから出ようとしない。なんだって今日は日曜日だ。学校も無いし部活も無いのだから起きる必要は無い。だから三成はこのせっかくの休日に、朝早く起きるなんてことはしたく無かった。
昨日は部活で丸一日潰れた…せめて今日は休みたい…
それが三成の考えである。

だが三成のその願いは数分後、脆く崩れ去ることになる。


ドドドドド…


バンッ!



「三成!」

「だ、誰だっ!!?」



三成は飛び起きる。部屋への謎の侵入者を確認しようとして自分の寝室の扉を開けると――



「おはよっ!三成っ!」

「ぐはぁっ!!」



扉を開けた先から突然飛び出して来た人間に腹に頭突きを入れられた。痛い。ものすごく痛い。起きたばかりで何も食べていないが、何か逆流してきそうな威力だった。

…こんな阿呆なことをするのは私の知っている限りあの憎き男の血縁しかいない。
その血縁の名前は…



「なまえ……」

「はい!なまえです!」



なまえ。
人の部屋に無断で侵入し、私の腹に頭突きをしてきた女。


そして…憎き、憎き家康の妹である。



「貴様ァ…何を、しに来た…」

「うん?」



腹に頭突きを入れられ苦しむ私に悪びれる様子も無く平然と聞き返して来る。
…頭突きを入れられて無かったら斬滅してやったのに…!!



「だから、何をしに来たと、言っている…っ!」

「ん?あ、そっか。用件を言って無かったね!えーっとね…今日日曜日でしょ?だから遊びに来たの!」

「…あ、遊び?」



おいおいおい。
馬鹿を言うのも休み休みにしろ。
貴様は遊びに行った家に無断で訪問し、その家の主に頭突きを食らわすのか。

ツッコミたいところは山程あったが、何しろ寝起きにいきなり頭突きを食らったのだ。ただでさえ朝は低血圧な三成にはちょっと限界だった。


ドサッ



「あれ?おーい、三成〜。みつなりさーん。おーい…―――」

「………」



朝早くから突然の悲劇に見舞われた三成はあえなく床へとダウンする事となった。



「む……」

「あっ!三成起きたー?」



…ここは…リビング?何故だ…私は自分の寝室で寝ていたと思ったのだが…それに目の前にいるのは…いるのは………



「…なまえっ!!?…だっ!」

「いだいっっ!?」



目の前の人物とぶつかった頭を擦りながらその人物を見る。
そうだ、私は――



「だぁーっ!もう、いきなり起きないでよっ!ぶつかったじゃん!」

「き…貴様…!!」



目の前の人物――なまえは自らのおでこを擦っている。
そうだ。私はこいつに頭突きを食らい気絶してしまったのだ。



「(私としたことが…情けないっ)きっさまぁぁ!!!私に何の用だ!!!」

「さっき言ったよ〜覚えてないのかな?うんとね、遊びに来たんだよ!」

「貴様は人の家に来るのに無断で侵入し、頭突きを食らわすのか!!!」

「ん?あ〜…ごめん!三成!勢いあまちゃって…でもそんなに強かった?」

「………何か逆流しそうなくらいにはな」



不快だ。実に不快だ。何故せっかくの休日、しかも日曜日に朝からぶっ倒れ無くてはならないのか。
それもこれもこいつ…なまえのせいだ。



「貴様…何も用が無いなら出て行け…!」

「ん〜〜…三成が心配だしなぁ」

「誰のせいだ!!」

「私のせいです!だからちゃんと責任取ってもうしばらくいるって」

「……」



だから貴様がいる方が危ない気がするのだが。今のなまえは何を言っても出ていかないだろう…
取り敢えず私は何か食べようと思い立ち上がった。朝から腹に一発食らわされるというとんでもハプニングに見舞わされ、何も食べていない。いくら少食派の私でも何か食べたい。



「…何か食べるか…」

「あ、もしかして三成何か食べる?じゃあ良かったらこれ食べて!」

「……………………何だそれは」

「カップケーキ!」



ほら!と言ってなまえが差し出してくるそれはどう見ても歪な形をしている。……これがケーキなのか?私は菓子は苦手だからよく判らないが…これがケーキというものには到底見えない。



「……………これを私に食えと言うのか」

「形は変だけどさ…味は保証出来ますよ!ちゃんと味見したからね!…兄さんが」

「貴様の兄は味覚音痴だろうがぁぁーーー!!!」



私を殺す気か!……だが今から自分で作る気には到底なれない。

私は腹をくくりこのカップケーキ(?)を食うことにした。仕方無く、仕方無くだ!他に選択肢が無いからだ。

私は意を決し、歪な形をしたケーキを受け取って口に入れた。



「…」

「ど、どう?」

「味が、無い」

「ええっ!!?嘘っ!?兄さんは美味いぞ!って言って食べてくれたのにーっ」



どんな味覚音痴だ。だが変な味ではなくて安心した。これは下手に味がついてたら間違いなく卒倒していた。
しかしどんな味だろうと物を貰ったのだから礼は…一応言っておかなければならないか。(被害に遭ったのは三成なのだが…何とも律儀である。秀吉の教えだと思われる。←)



「あのね、実は今日三成のとこ来たのって…これあげるためだったんだ!無事食べてもらったしそろそろお邪魔するね〜」

「…待て!」

「?」

「一応礼を言う…」



何故私が礼を言っているのか…矛盾を感じたが、こいつに悪気が無かったのは…解る。そうでなければ今頃斬滅しているはずだからな。
私がそう思っていると、なまえがにこりと笑いながら応えた。



「何だ〜…別に良いよ!こっちもいきなり突撃しちゃったし…でもありがとう!で、ごめんなさい!」

「フン…謝るぐらいなら最初から普通に来い!」

「…了解です!!」










日常茶飯事=突撃娘!
(笑ったなまえが…一瞬可愛いな、なんて私は思っていない!)










おまけ


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