「あ、あっ」

 そうとも、日常生活はそれほどでなくても、爛れているんだ、俺の今の生活は。
 主に、性的な方面で。

「ん、あっ、う、渦見っ……」
 熱い。
「笠原ー、きもちい?」
 熱い。
「はあっ……ぅ……」
 熱くて、溶けてしまいそうだ。
「良介くん、こっち向いて、朝出来ひんかったから、キスしよ」
「んっ」

 ギシギシと、ベッドが三人分の重みに耐える様に揺れている。俺の下半身は渦見のもんを咥えこみ、口の中には灯の舌が侵入してきた。熱さに頭が揺れて、ベッドの背もたれにもたれ掛かっている渦見の首に手を回した。体中の血液が沸騰してるみたいだ。熱に浮かされた様に、渦見の名前を呼ぶと、嬉しそうに渦見が笑った。結合部からは、ぐちゅぐちゅといやらしい音が響いている。
 渦見の手が俺の腰を掴み、灯は横で俺の頬を両手で包みこむと、何度も口づけてくる。はぁはぁと、荒い息が混じりあい、部屋に熱気が籠もっていた。

「かーさはらー」
「りょーすけくん」
「……っ……」

 …………なんで、こんなことになったんだ。

 一番最初にやったのは、いつだっけ?
 多分、2ヶ月くらい前だった気がする。あの時も、どうかしてたんだ。前々からべたべたされてたのは気になってたけど、酔った勢いで体を開いたのがまずかった。それ以来結局なし崩しに、ずるずると関係を続けてしまっている。正直、気持ちいいことも、結構ある。彼女もいないし、溜まってるときは抜いてもらえると気持ちいいし。慣れると悪くない。けど、精神的にくるもんがあるし、慣れちゃったらやばいだろ。
 渦見と灯は、気にしないんだろうか。お互い相手の事を見ていなくて、ただ俺にばかり欲望をぶつけてくる。
 "これ"をし始めてから、渦見と灯の喧嘩は、ずいぶんと減った気はするけど、このまま続けられたら、俺の体が死ぬ。

「あ、あ、あ」

 ずぬぬ、と渦見が俺の腰を持ち上げると、咥え込んでいた渦見の陰茎が、俺の中から抜けていく。抜けるかと思いきや、亀頭付近まできて、再び強く押さえつけられ、また深く中へと入っていく。ずぶ、と一気に挿される感覚に、声が漏れる。

「ぅあっ!」
「あひゃっ……はぁっ……笠原ん中、気持ちいー」
「うっ……く……」
「次、僕やからはよ出せやアホ」
「うるさ、俺お前みたいに早漏じゃねーから」
「ああ?」

 渦見と灯が、隣でなんか言ってるけど、さっきから何度も中を擦られて、頭が沸騰しそうだ。こんなことばっかやってたら、そのうち脳細胞全部死滅しそう。
 渦見が、灯の手を払いのけて俺の顔を掴んだ。それから、深く口づけてくる。口の中まで熱い。ぺろりと唇を舐められて、動物でも相手にしてる気分になってきた。実際、それとあんまり変わらない気がする。

「ん、んむ」
「おい、何独り占めしてはるん」
「笠原あー、こっち見て」
「はぁっ……うず、み」
「あひゃっ」
「…………」
「ぅあっ」

 渦見にキスされていると、後ろから手が伸びてきて、俺の陰茎を掴んだ。大仰そうなため息が聞こえてきて、うなじを舌が這い、ぞわりとした感覚が、背中をかけ巡った。

「ひっ」
「はあー、良介くんが女の子やったら二穴突っ込めてんけど、一人突っ込まれたら僕やることないやんな」
「あ、やめっ、灯」

 ぶつぶつと文句を言いながら、後ろから扱かれる。堅くそそり立った肉棒は、既に先走りで濡れそぼっていて、ローションも相まって、卑猥な音を立てていた。
 こいつらとやるようになってから、正直尻穴開発された自覚はあるけど、それでも俺だって男なんだから、ちんこいじられたら弱い。早い話、気持ちいいんだ。

「っ……!」
「へったくそな終夜はよイかせて、次僕とやろ」
「うざぁーいー」
「黙ってさっさと終わらせろや遅漏」
「は〜?」

 俺を挟んで、喧嘩しないでほしい。しかも、こんな状況で。渦見の手が、俺の尻たぶを掴み、広げるようにして、上へ持ち上げた。

「っ……なにっ」
「ほら、こんなに嬉しそうに俺の咥えてんじゃーん」
「っ、あ、やめっ、灯、見んなアホ!」
「笠原はあ、ここがっ」
「あっ」
「いいんだよねっ」
「ひ、ぃ」

 ぐにゅ、と中で何度も弱い部分を突かれる。こんなことしといてなんだけど、いくらなんでも、繋がってる部分を見られるのは恥ずかしい。電気を消しとけばいいのかもしれないけど、暗闇が嫌いだからという理由で、寝るときだって豆電球をつけたりする奴らだ。そんなの、無理な話だった。前立腺、って言うんだっけ。ぐりぐりとそこを突かれると、出したくもない上擦った声が口から漏れる。にゅぐ、と粘着質な音を立てながら、俺の腰が上下に揺れた。
 灯が舌打ちしながら、俺の亀頭を親指でぐりぐりと擦り、手を上下運動させながら、俺の耳を噛んできた。

「あっ、ぅあっ、ひ」

 ぞくぞくとしたものが背中をかけあがってくる、やばい、イキそ。
 俺の中にある渦見の物も、でかくなった気がする。ぎゅっと渦見の肩を掴んで、荒い息を上げた。

「渦見っ……たのっ、も、いきそ……」
「笠原、俺もっ……!」

 ちゅ、ちゅ、と音を立てて、渦見が俺の顔にキスしてきた。中で、どくどくと脈打っている。ゴムはつけてると思うけど、なんかもうこの瞬間はいつも情けなくなる。男に中で出されるって、なんなんだよ。そう言ってる俺も、灯の手の内に、あっけなく吐精してしまった。目頭が熱くなって、涙が出そうになる。なんで、こんなことになってんだろ。よくわかんないけど、普通に気持ちよくなっちゃってる俺がいて、頭がおかしくなりそうだ。
 こんなことして、きっと俺は変態だ。

 ずるりと渦見のものが俺の中から引き抜かれると、渦見はつけていたコンドームをはずして、ゴムの口を縛っていた。満足そうな顔で俺の頭をなでてくる。

「はー、気持ちよかったー」
「ほな、次僕の番」
「ち、ちょっと、待て、少し休ませろっ……」
「かんにんなあ良介君、それ無理やわ。まだ若いしいけるやろ」
「っ、あ、ゃ」

 ぐぐ、と後ろから灯のちんぽが中に入ってきた。渦見のですっかり慣らされた俺の尻穴は、あっさりとそれを受け入れる。こんな、こんな簡単に入るとか死にたい。少なくとも、二ヶ月前まではこんなんじゃなかったのに。女の子とやるとき、勃たなくなったらどうしよう。つーか俺、女の子とできんのかな。
 羞恥と快楽が綯い交ぜになって、隠すように布団に顔を埋めた。ベッドの上で四つん這いになって、犬みたいな格好でバックから灯に突かれる。さっきの、渦見との体制とは違って、灯が動くから、休む暇もない。肉のぶつかり合う音が響いて、シーツをぎゅっと握りしめた。

「あっ、あ、灯っ」
「あはっ……僕もなあ、良介くんのええとこ知ってはるで」
「ふっ、うあ」
「こことかええやん」
「っひ」
「ここも」
「うっあ」
「終夜より僕のがええやろ?」

 ぐりぐりと中を擦られて、シーツを掴む手に力が入った。もう、なにがなんだかわからん。目の前に、渦見の顔がある。むっとした表情でベッドの下に座って、喘ぐ俺の顔を見つめている。

「その体制じゃちゅーできないじゃん。お前って馬鹿?」
「はっ、ええやろ別に。この方がっ、と」
「あ、あ、中、入ってくる」
「後ろから痕つけられるし」
「っい、あ」

 がり、と肩を噛まれ前かがみになった分、さっきよりも深く中に入ってきた。灯の胸と俺の背中がぴったりくっついて、耳元に息を吹きかけられた。ぞわっと肌が粟立ち、体が震える。

「っ……!」
「……笠原ー、こっち向いて」
「……うず、んっ」

 今度は、渦見がキスしてきた。後ろから突かれて、目の前には渦見。舌と舌が混ざり合って、気持ちいいけど、もう、訳がわからなくなってくる。この状況も、この生活も。俺、なんでこんなことになってんだろ。
 ちょっと前まで、普通に大学生活、送ってたはずなのに。
 ずちゅ、と音を響かせながら、灯が後ろから突いてきた。

「あ、っ」
「お前っ、さっき散々したやろが、ずるいで」
「うるさー」
「け、んか、すんなっ……て……」

 だから、俺を挟んで喧嘩をすんのはやめてほしい。精神的にもきついけど、これが長引くと俺の体が一番きつい。息も絶え絶えにそう言うと、一瞬妙な間があった。

「……ま、良介くんがそういうなら」
「うー……いいよ」

 涙目になりながら、灯が俺の体を抱えて、自分の方へと倒してきた。

「でも、お前はキスしすぎや。良介くん、こっち」
「んっ」

 上から、灯の唇が降ってくる。汗ばみ、蒸した部屋の中で抱き合っていると、その内何もかもがどうでもよくなってくる。多分、脳みそが沸騰してるんだろう。
 ぎゅっと背後から抱きしめられて、額からぽたりと汗が落ちた。


****


 朝、目が覚めると、体が重い。心霊現象とか、もうそういうのは抜きにして言う。邪魔だ。二人に抱きつかれていたら重いに決まっている。昨日は、あれからすぐ寝てしまったらしい。べたべたする体を無理矢理起こして、眠っている二人の顔を引っ張った。気持ちよさそうに眠っているのが腹立つ。

「うぎっ?」
「ふぁっ」
「……朝だぞ、起きろ。俺、今日は立てない」
「……おはよー笠原」
「おはよう良介くん、今ご飯作るな」
「…………おはよ」

 全く、爛れている。俺の生活は爛れている!
 でも、最近は気持ちいいとか思っちゃうから、性質が悪い。終わってんな、俺。もう俺本当にホモかも。こいつらといたら、女の子とデートなんて出来るはずないし、そもそも、渦見とは離れられないし。こんなことしてて、将来どうなるんだろう。そう遠くない未来の事を考えると、非常に肩が重かった。

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