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 何回くらい果てたでしょうか。行為を終えると、笠原様はどこか空虚を見るような目で、布団の上に横たわっておりました。体も、顔も、精液でべとべとに汚れている笠原様を、灯様はゆっくりと抱き起こします。

「あーあー、べっとべとやね」
「……とも、す」
「ふふっ、どないやった?」

 微笑むと、そっと頬に手を伸ばします。柔らかな頬を撫でると、その手を掴んで、笠原様は灯様に抱きつきました。悲鳴の様な鳴き声をあげて。

「う、ううっ、ああああ――! うああ――っ!」
「ああ、そんなに泣かんといて。よしよし、怖かった?」
「あああああああ灯っ、ともす、ともす! 俺がっ、おれ、は!」
「うんうん、僕はここに居てるよ」

 縋りつくように泣きじゃくる笠原様に対し、灯様は恋人へ接するように、優しい仕草で頭を撫でておりました。おそらく、私達はもうこの場にいるべきではないのでしょう。全てを出し切った私たち道具の使命は、すでに終わっているのです。
 冷ややかな灯様の視線に晒されないうちに、そっと部屋を後にしました。最後に振り返ると、二人は、まるで恋人同士の様に、強く抱き合っておりました。

「ともす、ともす、ともすっ」
「大好きやで良介くん、愛してはるよ。なあ……良介くん……。――――……」 

 灯様が、笠原様に何かを囁いてらっしゃいました。しかし、すでに私は部屋を後にしていたので、何を呟いておられたのか、また、その後笠原様がどうなったのかは、私が知ることはありませんでした。というより、知ることができなかったのです。ただ一つだけ確かなのは、もうお二人とも、正気ではいられないのだろうな、ということだけでした。もしかすると、私も、正気ではないのかもしれませんが。

 それ以降のことは、もう。


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