キス以上のことをしたいF



 翌日、俺達は惰眠を貪り、起きた時には昼の二時だった。昨日の夜からなんも食ってない腹は鳴りっぱなし。クーガーは夜の散歩に連れて行って貰えなかったことを怒り、正義は体力値の限界が来て、俺のベッドに横たわっていた。
 元気なのは俺だけだ。起きてからすぐにクーガーに謝り、部屋を片付けた。正義は、体が痛くて起き上がれないっぽい。

「…………悪い……」
「いや、僕の方こそ……掃除とか全部任せてごめん……」

 ベッドの中で横になっている正義が、申し訳なさそうに言ってくるけど、どう考えても謝るのは俺じゃね? これ以上やるとヤバイってわかってたのに、全然止まらなかったし、止められなかった。
 土下座する勢いで謝ると、正義はどうでもいいことを謝ってくる。いいんだよ、後始末のことは。それより、やっぱやりすぎだったよなぁ〜〜〜……、わかってたよ、わかってはいたんだよ。途中なんか自分でもわけわかんなくなってたし。途中待ってとか言われた気もする。でも、俺はそれを止められなかった。
 クーガーが家の外で、散歩の時間だと吠えている。
 悪いクーガー、俺は待ても出来ない、犬以下の男だ……。
 嫌われたかも、と項垂れていると、ベッドの中から、正義が言った。

「誠、どうしたの」
「…………いや、……無理させすぎて、嫌われたかなって……」
「えっと、僕が誠を嫌いになることはないよ。嫌だったら、僕もちゃんと言うし……昨日のは、僕も好きでしたんだ」

 と、正義が笑う。こいつ、なんでこんなに良い奴なの? こんな立てなくなるくらいやるのは、やりすぎだろ。明後日からの学校大丈夫か?
 ぐるぐると色々なことを考えていると、ベッドの中から、正義が手を伸ばしてきた、俺の頬に触れてきた。耳に付いているピアスを撫でて、それから髪の毛の間を手ぐしのように上げて、頭を撫でてくる。

「…………まさ……」
「気持ちよかったよ」
「え」
「……流石に、昨日みたいに沢山は、こうやって迷惑かけちゃうから出来ないけど」
「…………いや、それはマジでほんと……」
「でも、誠が僕のこと好きって言ってくれるの、嬉しかったから、誠がいやじゃないなら、またしようね」

 その言葉に、俺は何度も頷いた。別に、セックスの時じゃなくても、お前のことが好きだなんて言葉、いくらだって吐くけど、今はただ、こうして二人で穏やかな時間を過ごせることが、幸せだった。
 遠くでクーガーの吠える声がする。
 これから、正義が休んでる間にまずはクーガーの散歩に行って、その帰りにコンビニで飯買ってきて、帰ってきたら二人で飯を食おう。
 そんで、そのあとまた一緒に話して、できるだけ一緒に居て、やりたいゲームとかあったらやってもいいし、ただ一緒に居るだけでもいい。正義の頬を撫でると、正義はくすぐったそうに笑った。
 俺も、少しだけ笑みを浮かべる。なんでもいいんだ。こいつと居られれば、楽しいから。
 お前も欲しかったのかもしれないけど、俺にとっても、めちゃくちゃ大切なんだよ。

 だから、大志には絶対に譲れない。


終わり



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