キス以上のことをしたいE




「あっ、あ゛、あっあ゛っ、あっ、あ゛っ!」

 ギッ、ギッ、と軋むベッドのスプリングの音に混じって、喘ぎ声が響く。ベッドの上に散乱する結んだゴムが視界でちらつく。俺は四つん這いになっている正義の腰を掴んで、夢中で腰を振っていた。
 あれから、何時間経ったっけ? 忘れた……、考えている余裕も理性も、残ってない。蒸し暑い部屋の中、時間も忘れて事に及んでいる。
 結合部からじゅぷじゅぷと音が漏れ、バックからのスタイルだと、繋がっている部分が丸見えだ。はーー、はーー、と息を吐きながら、まるで獣の交尾みたいに、無我夢中で中を貪った。
 やば、頭がチカチカする。視界の奥で、星が散っているみたいだった。水分だって何度も補給してんのに、補給した分全部外に出て行ってんじゃねえかってくらい、二人とも汗だくになっていた。
 正義も、最初は抑えようとしていた声も、今は抑える余裕もないのか、中を突く度に漏れていた。

「ふっ、あっ……ま、誠っ、あっ」
「………………っ」

 びゅる、ともう何度目かわからない射精をすると、俺はちんこを引き抜いた。ぽっかりと開いた穴が、元に戻ろうとゆっくりと閉じていく様に、ごくりと喉を鳴らす。最初はぎこちなかったセックスも、回数を重ねるごとに慣れてきて、どこを触れば気持ちいいのかとか、男のどこを擦れば感じるのかとかがわかってきた。
 ベッドの上で汗だくになり、くたりとうつ伏せにへたっている正義の穴に指を突っ込んで、前立腺をこつこつと指でノックする。指の腹で優しく撫でてやると、息切れしていた体が、びくんっ、と仰け反る。腰が浮いて内股を閉じた。閉じていく穴をこじ開けるようにして、指で愛撫する。体を反応させながら、正義が焦ったように振り返る。

「……っ〜〜〜〜! ま、誠、待って、休憩……っきゅ、きゅうけ、しよ……っ」
「さっきしたっ……!」
「あっ、あっあ゛っ! ひっ、あ〜〜〜〜〜〜……っ! やめっ、やっ、っ、だめだ、そこ、好き、好きだから……っ! う゛あ゛っイく、イくっ……あ゛っ〜〜〜〜……っ!」

 くちゅくちゅと中を弄られる度に、正義のちんこがぴくぴくと反応して体は仰け反り、肩甲骨が浮くと、その間を汗が流れ伝っていく。正義のに付けていたゴムはいつの間にか外れていて、ベッドの下に落ちていた。口を結んでいなかったからか、どろりと中に入っていた精液が溢れている。
 アナを弄る度にゆらゆらと揺れるちんこから漏れ出た精液が、俺のベッドのシーツを汚す。どろどろになった体で、何度もこんなことを繰り返しいていたら、窓の外が、さっきよりも白んできていた。今、何時だ……? 三時くらいか……。
 もうやめなきゃ、次こそ終わり……、そう思ってやり続けていたら、こんなことになった。
 自分でも、理性がぶっ飛んでいるんじゃないかと感じるけど、……あんな事言われたら、止まれるわけねえじゃん!? 何が好きにしてほしい、だよ。そういう煽るような、無防備なこと、言うなって……っ!
 今まで我慢していた分の反動なのか、もうこれで終わりにしようと思うのに、止まらなかった。さっきから、勃起が収まらない。
 今だって、出したばっかりなのに、指で弄られて感じて喘いでる正義を見て、また勃起しつつある。こんなヤリっぱなし、猿じゃねーんだから、と思う反面、いやもう猿の方がマシかもと思う。いっそ獣だったら、こうして夢中になってても不思議じゃない。
 自分で自分がコントロール出来なくなる、もう、何がなんだか、わかんなくなってくる。正義、好きだ、正義。

「はっ……はあっ……」
「あ、あっ、ぅあ、っすき、すき……っ」

 正義は、性感帯を弄られて、言葉を漏らすとき、いやとか、駄目とか、否定の言葉も口にするけれど、必ず「好き」って言う。まるでそう言うことが当たり前みたいに、気持ちいいと、好き、好きと何度も言葉を漏らす。
 それが、誰に教え込まれたものなのか、頭ん中ではなんとなくわかっているのに、俺の手によって好きだと言い続けて、理性溶かしたみたいに、蕩けた顔で喘ぐ正義見てると、全部がどうでもよくなって、止まらなくなっちまう。
 片尻を掴んで、中を広げると、充血した中が見える。その中に指を突っ込んで、ちゅこちゅこと前立腺を押しつぶせば、うつ伏せの状態のまま、正義はシーツを握りしめる。

「……っ、は、ここ好き?」
「すきっ、すき……っ!」
「じゃあ、もっかい挿れて、いいか……っ?」
「う、んっ! ほしい、誠のっ……!」

 興奮気味に声を上げながら、了承を得たから、俺は再びゴムの封を切って、すぐに自分のに装着するべく手を伸ばした。指がローションだか体液だかわかんねえ液体でぬるついて、うまく取り出せない。早く。
 早く、早く、早く早く早く! 早くつけて、こいつと繋がりたい!
 頭ん中が、そればっかりになって、目の前がチカチカした。余裕も理性も計算も打算も、何も無く、ただただ目の前のことでいっぱいいっぱいだ。我慢できずさっさと歯で封を切り、慣れた手つきでゴムを装着して、うつ伏せに寝た状態になっている正義に、寝バックの体勢で上からちんこを押し入れた。

「んお゛っ……っ!」

 どちゅ、と勢いよく上から挿すと、正義の体がじたばたと手足をばたつかせる。けど、抱き潰してるようなこの体勢じゃもがいたところで、何も変わらない。額から流れてきた汗が、パタパタと正義の背中に落ちていく。蒸した部屋の中、目にかかる汗が鬱陶しくて、前髪をかきあげた。
 真っ赤になっている正義の無防備な首筋に、繋がったまま噛み付くように口づける。

「ぅ、〜〜〜〜〜〜……っ!」

 ぢゅう、と吸い付いて、痕を残し、赤く色づいた首筋に舌を這わせる。少ししょっぱい。汗の味がする。他人の汗なんて、一生舐めたくないと思ってたのに、今はどうしようも無く興奮した。べたべたする肌を重ね合わせると、正義が俺の中で揺れる。ほしい。全部、全部欲しい、大志の痕跡を、全て俺で上書きしたい。
 そんな気持ちにすら駆られてくる。
 腰を落として、中を突くと、腕の中にある正義の体がびくびくと震え、声をあげる。俺は軋むベッドの音に呼応するように、ピストンを繰り返した。
 ギッ、ギッ、ギッ、とスプリングが軋む度に、正義の声が上がる。

「あっ、う゛っ、あ゛っあ゛っ、はっ、はぁっ、すきっ、誠、っ、あ゛っ、好きぃっ、好きっ! あ゛っ、あ、きもちっ、そこ好きっ、すき、すき、っ」
「……っ……! 俺もっ、好き、……っ!」

 ピンポイントに正義の良いところを、何度も上から押しつぶすように抜き差しを繰り返すと、涙混じりに正義が言う。ぴくぴくと体を痙攣させながら、譫言のように、熱に浮かされたような、甘い声で好きという言葉を繰り返す。
 それが本音なのか、もう癖になっているものなのかもわからない。でも、俺はその好きという言葉だけに縋って、正義の手の上から自分の手を重ねて握る。

「好きだっ、正義……っ! お、俺っ、お前がのこと、すげえ好きっ」

 きゅう、と締め付けてくる穴に、精液が搾り取られる。何度目かのピストンの後に、俺は正義の上に覆い被さって、再び中で射精する。最初のセックスから今に至るまで、全部中で出している気がする。ゴム越しといえど、どうしても中に刻みたかった。出し切ったあとも、ちんこを抜かず、覆い被さったまま押しつぶす。
 耳の裏の髪の毛を避けて、鼻先をくっつけ、ぢゅ、と強く吸うと、正義の背中が少しだけ丸くなった。内股が震え、未だ俺のを咥えたままの穴がきゅう、と収縮する。イッたのかもしれない。
 色んな所に痕を残したせいで、背中も前も太ももにも、ぽつぽつと赤い痕がついていた。けど、俺にもいくつかついている。鎖骨の下、腹の横、腕……、背中には爪痕が残ってる。その事実が、なぜだかめちゃくちゃ嬉しかった。
 何度も出しまくったせいか、ようやく頭が冴えてきた。
 ずるり、と正義の中からちんこを引き抜くと、俺は近くにおいてあったペットボトルの水を煽る。お互い、水分出しまくってるし、体もめちゃくちゃ疲れてる。俺ですらこうなんだから、正義はもっとキツいよな……。
 うつ伏せになって、まだゆるイキを繰り返してる正義の体を仰向けにひっくり返す。

「おい正義、大丈夫か? 悪い、やりすぎた……水飲める?」

 ぴたぴたと上気した頬に触れると、ぼんやりとしていた正義の視線が、俺の方へと定められた。

「誠……」
「起きれる? ごめんやりすぎた、流石にもう……」
「すき……」
「ん?」

 ちゅ、と正義は体を起こして、俺の唇に唇を併せてきた。

「ちょ、おいっ、ん」
「…………っふ……」

 求めるように何度も吸い付いてくる。おいおい、こいつまだ正気トんでるんじゃ、流石にこれ以上はやべえよ……と思ったところで、正義の体の重みが増した。正義の体が、俺に覆い被さってくる。

「……おい、正義?」
「…………」
「ぅおーーーい!」

 なんかこれ気絶してね!? 正義! おい、大丈夫か! えっ、マジかこれ! 熱中症!? この部屋熱いから!? と思ったら、正義が目を覚ました。

「ごめん、な、なんか頭ふらふらして……」
「いやいいから、水飲めって……」

 ……よ、よかった、とりあえず飲め、とペットボトルの水を渡すと、こくこくと喉を鳴らして潤していく。水を飲むと、流石に少し正気に戻ったのか、汗だくの体で、正義が微笑んだ。

「あついね……」
「シャワー浴びる?」
「うん、浴びたい」
「んじゃ一緒に浴びるか。お前一人だとやばそうだし」

 べとべとになった体は、早くシャワーで流した方がいいと思う反面、まだこうしてくっついていたい気持ちもあって、なんだか複雑だ。
 とはいえ、未だぽわぽわして、夢うつつみたいな状態の正義にこれ以上続けることもできない。俺は正義の髪の毛をくしゃりと撫でて、名残惜しくもキスをした。


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