B



 体がべとべとで気持ち悪い。布団の上に全裸で体を投げ出していたら、灯が嬉しそうに俺を見下ろしていた。体は重くて、少しだって動かない。俺は虚ろな目で灯を見た。行為を終えた後の灯はいつもこうやってくっついてくる。俺の口にキスをすると、にっこりと笑った。

「良介くん」
「…………なに」
「酷い声やで。って僕のせいか、かんにんなあ」

 かんにん、とか言ってる割には、全然悪いとなんて思ってなさそうだ。いや、思ってないんだろう。それどころか、こいつは自分が原因で俺が苦しむのを楽しく思ってる。それくらい、俺だってわかってるよ。灯は俺の頬をなぞると、じっと足の方を見つめた。その視線に、なんだか嫌な予感がして、俺は目を反らした。けれど、それが気に食わなかったらしい、俺の口の中に指を突っ込んできた。

「あっ、えあえ、うえ」
「何で目、逸らすん? これだけやったのに、まだ自分の立場わからへんの?」
「ううあ、うあう」

 舌を引っ張られて、うまく喋れないけど、必死に首を振る。違う、そんなこと思ってない。もう俺はお前のものってことでいいよ、だから、怒るのはやめてくれ。

「良介くんは、誰のものやっけ?」
「……ろ、ろも、う」
「何言うてはるのか、ようわからんわ」

 ケラケラ笑いながら、灯がようやく舌を離してくれた。俺の唾液まみれになった手を舐めると、にっこりと笑んでくる。

「もう一回聞くで、良介くんは、誰のもの?」
「俺は……灯の、です」
「うん、せやね。こっから逃げる?」
「……逃げない」
「ええ子ええ子、君は、僕のいう事は何でも聞く言うてはったよな?」

 小さく、頷いた。どっちみち、それ以外の選択肢はないんだろう。

「此処から出ないんやったら、この足、いらへんよな? 僕が面倒見るし」
「……え」
「ん? それとも、お父さんに会いたい?」

 口を噤むと、まるで恋人にでも語りかけるような、優しい口調で、灯が話しかけてきた。仕草も、口調も、優しいけど、手に持っているそれは全然優しい物じゃなかった。

「良介くん、ずっと一緒やで。大丈夫、君が壊れても、僕がずっと傍におるから」
「や、いやだ、やだやだやだやだっ、やめ、……――――!」

 悲鳴が、部屋の中に木霊した。


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