風邪の話A
「にっしー、どの娘が好み? 俺これー」
「俺はこの娘がいい」
「えー、井上ってマゾなん? こいつちんこ調教してきそうな顔してるじゃん。絶対Sだよ」
「そこで好きって言ってくるとき優しくなったら可愛くね? なーにっしーはどれ」
「んー、俺はこの娘」
「あーわかる」
「てかにっしーって意外と清楚系好むよな。自分は強面のくせに」
「顔は関係ねーだろ」
昼休みになった。
俺たちは飯を食いつつ、佐々木が持ち込んだグラビア誌を三人で見ていた。
佐々木が指を指したのは、ギャルっぽい女で、井上が指を指したのは、気が強そうな女。どっちも俺の好みからは外れている。
俺が指さしたのは、なんとなく目に付いた、ボブカットのセーラー服の女だった。
清楚というか、大人しくて真面目そうな、俺らと関わらなそうな女子。佐々木が笑いながら近くの煽りを読み上げる。
「放課後図書室でお勉強……ってか。こんな女ウチの学校いないぜにっしー。むしろこの学校図書室とかあったっけ? 俺行ったことないんだけど」
「そうそう、ほら見ろあれ」
「…………」
井上が指さした先には、スカートの中に短パンのジャージを穿いて、あぐらをかいて地べたに座って弁当を食ってる女子。
椅子に座って爪をピカピカに磨いたり、化粧している女子。恥じらいなんてもんは基本ない。
だいたい髪の毛を茶色とか金やら赤やらに染めていて、この雑誌に載っているような黒髪なんていないし、いたとしてもやっぱギャル。
まあ、真面目な女はこの学校にそもそもこないだろうな。
俺だって別につき合いたいと思って指さした訳じゃねえよ。
佐々木がパンを片手に聞いてくる。
「つーかこの学校ギャルばっかなんだから必然的にこういうの選ぶだろ。こういう可愛いギャルは稀だけど!」
ぎゃはは、と笑うと、近くから佐々木うぜーという女子の罵声が飛んできた。佐々木は全く気にしてない。
井上が、そういえば、と続けた。
「これ、大志にも聞いたことがあるんだよな。どれがいい? って」
「ふーん、あいつどれ選んだの?」
「当ててみ?」
「これだろ」
「おっ、正解」
「さっすが幼なじみ〜、よくわかったな」
「あいつの好みわかりやすいから」
俺が指をさしたのは、単純に可愛い女が沢山並ぶこのグラビアの中で、一番微妙で選ばれなさそうな女だった。
実際、佐々木も井上もこれはない、と笑ってる。俺だってそう思う。つまり、大志の好みっつーのは、どんなタイプとかじゃなくて、人から選ばれない感じが好きなんだ。
だったら、小波じゃなくてもいいのに。小波はこん中で言えば、こういう真面目系の……っていや、なに考えてんだ? そもそも小波は男だから。
ていうか、あいつは今どこにいるんだ?
ざっと教室の中を見渡したけど、あの埋没しそうな存在感の薄さを弱める狐面は見あたらない。いや、あいつが教室で飯食ってる姿自体見たことがないかも。
まあ、あの面外さないと飯食えないだろうし、たまに大志と飯食いに行ってたりもするけど、どこで食ってんだろ。
佐々木とか井上は知ってるかと思ったけど、100パー知らなそうだから、聞くのはやめておいた。
代わりに、小波にラインでメッセを送る。
【小波、今どこで飯食ってんの?】
すると、すぐに既読がついて、返信が来た。
便所飯だったらどうしよう、と思ったけど、別の場所だった。
【渡り廊下付近の階段の所】
いつもそんな所で飯食ってたのか。渡り廊下ってここから大分遠いはずだけど。俺がスマホを弄っていると、佐々木が何してんの? と覗き込んできたから、慌てて画面を消す。
けど、一歩遅かったらしく、佐々木は顔を顰めた。
「うーーーーっわ、にっしーうーーーっわ」
「んだよ」
「小波くんとラインしてんの? なにそれー、急にそういう仲良しっぷりやめてくんね? キモいんだけど」
「えっ、なに、にっしー小波くんのライン知ってたん? つーかあいつもラインやってたんだ」
「そんなにしてねえよ。いいだろ別に」
「大志に言ってやろ」
「それはマジでやめろ!」
「あっ、大志からもラインきてる。超暇、だってさ。もう熱下がってるっぽいなこいつ、わけわかんねえ写真送ってきてる」
グループラインに投下されていた大志のラインは、暇なのか何度もきていた。変なポーズしてる写真まで送ってきてるし。俺らのメッセ、どうでもいい時は既読スルーするくせに、自分が暇な時は構ってほしいって猫かよあいつ。
佐々木が笑いながら昼食の写真を撮って送っていた。なんとなく流れた雰囲気になって、正直ほっとする。
「帰り大志んちよってく?」
「あ、俺バイト」
「俺もー」
「じゃあにっしーだけか、行くの」
「は? 行かねーし」
「なんでよ、この流れで行かなかったら大志スネるぞぜってー」
「女子か」
実際、大志は俺なんていつでも会えるし、家も近いし、来てほしいとか思ってなさそうだけどな。小波には来てほしいと思ってるかもしれないけど。
そういえば、小波のラインスルーしてた。再び画面を開くと、俺のメッセに既読がついてる。
けど、うまく送る言葉も見あたらず、どうでもいいラインを送ってしまった。
【そこ寒くない?】
【少しだけ寒いかも】
【次の授業俺寝るけど今度ノート貸して】
【いいよ】
なんて、他愛もない会話を続けてる内に、チャイムが鳴った。
***
別に、大志の家にお見舞いに行く義務なんてない。
そもそもあいつもそれを望んでないだろうし。
佐々木も井上もバイトで来ないって言うし、俺も元々行くつもりはなかった。けど、なんか提出しなきゃいけないプリントがあって、それの期限が明日までだったらしい。
つーか、本当はもう期限切れてんだけど、大志が机の中にプリント放置してっから、明日が本当に最終締め切りだとかなんとか。馬鹿かあいつ。昔からこうなんだよ、何故か家が近くて幼なじみだからって理由で、大志の尻拭いに俺が駆り出される。
結局教師に頼み込まれて、俺は大志の家まで行くことにした。まあ、帰り道だからいいけどさ。
「おー、いらっしゃいセイー」
「元気すぎだろ、お前。風邪じゃねーんかよ」
「もう治っちゃった」
何度か来た家に足を踏み入れるとスウェット姿の大志が元気良く招き入れてくれた。寝起きっぽく、髪もぺたんとしているけど、元気そうだ。ちょっとは具合悪そうにしろよ、やっぱこいつサボりじゃねえの。
靴を脱いで家に入ると、大志の部屋まで行く。
本当は、プリント渡して帰ってもよかったけど、別に用事もなかったし、大志も入れって言うから、そのまま部屋まで行った。
「もう今日超暇だったわー、セイさ、グループラインミュートにしてるだろ、既読2しかつかねーし」
「バレた? お前送ってきすぎだから」
「だって暇だったし!」
ベッドに座りながら、大志が壁のお面を弄る。ちょっと来ない間に気持ち悪いことになったなこの部屋。
前からよくわかんねーもんはおいてあったけど、今はなんだ、この部屋、縁日の屋台かよ。
大志の部屋の壁には、今まで大志が被ってきたお面がずらりと並んでいた。狸に能面、般若、美少女戦士、ヒーロー、ひょっとこ、おかめに天狗と選り取りみどりだ。ないのは狐面くらいか。
壁に張り出されてるから、見張られてるみたいですごい怖い。
「それしまっとけば? 寝るときとか視線感じそうでこえーな」
「セイは図体でかい癖にそういう所怖がるよな、コレクションなのに見せびらかさなくてどーすんの」
と、大志は笑うけど、普通にイヤだろこんな部屋。
俺が途中コンビニで買ってきたお菓子を食ってると、大志が今日はどうだった? と聞いてきた。
「どうって何が。別にいつも通り寝てたよ俺」
「いやセイじゃなくて。お前はどうでもいいから。正義ちゃんよ正義ちゃん、決まってっしょ」
「あー……」
嬉しそうに言われて俺は言葉に詰まる。
体育の時のあれ、は言わない方がよさそうだよなあ。つーか、他の時も大志がいないと完全にぼっちで痛々しかったし。
そもそも、小波も殴られたことは大志に言うなっつってたし。ここは言わないでおいてやるか。
「……別に、あいつもいつも通りだったんじゃねえの。寝てたから知らねえよ」
「へー……ははは、セーイーお前さあー」
「なんだよ」
「ほんっと、昔からよ?」
「はぁ?」
「昔っから、嘘つくのドへたくそ」
「は……」
その時、俺は気がついた。
大志の目が、全然笑ってないってことに。ヒュ、と喉が鳴る。
その目は、今までで何回か見たことがあった。小学校の時、あいつがお気に入りのビー玉を汚された時とか、中学校の時とか、色々。でも、今日の目は。
悪寒を感じて、俺は手に持っていたお菓子の袋を握りつぶした。いや、落ち着け、なんでちょっとビビってんだよ俺。
「何、……なんの話してんのお前」
「今井に、山口、あと鈴木」
「え」
「体育館な。あと三河と斉藤が昼休み。工藤と三隅が放課後」
「…………何言ってんのお前」
ひく、と自分の口元が引き攣った。何言ってんの、とは言ったけど、なんとなくわかってしまったからだ。
昼休みと放課後はわからないけど、少なくとも体育館の今井と山口と鈴木はわかる。
あの更衣室で、小波を囲ってた奴らが、確かそんな名前だった。
でも、なんでそれを大志が知ってる? 実は見てたとか? いやでも、大志はずっと家にいたはずだ。じゃあなんで。俺の疑問に答える様に、大志がラインの画面を開いて見せた。
「別に、俺がいなくても、見てるやつなんて沢山いるでしょ」
スマホを口元に持ってきて薄く笑う。その顔にぞっとした。
「…………誰に教えてもらったんだ? 小波から直接、とか?」
「なーいしょ!」
「…………」
小波から直接、とは聞いてみたけど、小波は俺に言わないでくれと頼んでいた。多分、大志が怒って、誰かに被害が行くのが嫌だったんじゃないだろうか。あいつはきっと、そういうタイプの人間だ。
そんな小波が、自分で直接大志に頼むとは考えづらい。じゃあ、誰が?
考えられるのは、同じクラスの奴らか、あるいは他のクラスの奴か、別の学年か。
……化野大志は、学校でも割と有名人だ。
クラスのスクールカーストでは頂点だし、他のクラスでもそれなりに名が知られているし、友達も多い。学校なんて、それこそいろんな奴の目がある。
ラインでつながってる奴だって、沢山いるだろう。そいつらが、知らせたとしても何も不思議じゃない。
「…………何すんのお前」
「何が?」
「……小波をその、殴った奴らに」
「あ? あいつら殴ったの? そこは知らねえんだけど俺」
「……っ」
しまった、墓穴を掘った。ぱっと口を抑えると、大志は面白そうにクスクスと笑う。
「セイは昔から嘘が下手だよなあ、俺にうまく隠し事できたことなんて、子供の頃から一回もないじゃん。目ぇ泳ぐからすーぐわかる。俺、セイのそゆとこ好き」
「………………るっせ」
「だからさー、セイ」
「なんだよ」
「正義ちゃんとライン交換して、一体何話してんの? 楽しい?」
大志の目が、笑ってない目が、真っ直ぐ俺を射抜いて来た。こいつのこう言うところ、マジ面倒くさい。
「…………お前、ほんと怖い、ストーカーかよ」
「はー? 好きな子のことは、何だって知りたいと思うじゃん! 俺が一番最初だったんだから俺のだろ。大体セイもね、俺が正義ちゃんに構ってる時、興味なさそうだったのに、どういう心境の変化? 正義ちゃんとお話しした? なぁ、嘘ついても意味ねえから、正直に言えよ、おい」
途中から声にドスが入っている。結構マジで怒ってるな、こいつ。喧嘩しても、大志に勝てたことは一度もない。それは俺が弱いからってわけじゃない。
単純な力比べとかなら、俺の方が上だし、体力もある。ただ、大志の怖いところはその分析力。相手どうくるかってのをわかりきってるみたいに対応してくるから、結局俺は大志に勝てない。
だからわかる。ここで嘘ついてもなんの意味もないってこと。
「話してねえよ、小波とは一言も」
「ふーん?」
「お前、小波に自分以外と話すなっつったんだろ。喋るなって。小波、律儀にそれ守ってるから、ラインにわざわざメッセ送ってもらって話したんだよ。直で話した方が楽なのに」
「正義ちゃん、俺の言うこと守ってたんだ? 俺もいないのに」
「っ、そうだよ、だから……」
別に小波とは大したことは話してない。
そう言おうと思った言葉は、大志の表情を見て遮られた。
「そっかー、そうなんだ。ははっ…………最っ高ォ〜……」
嬉しそうに持ち上げられた口角に、目は細まって、若干頬が赤らんでいた。心底嬉しそうなその表情に、俺は寒気を覚えた。だって、人一人の言葉を封じて喜んでるってそれ、普通にやばい奴じゃん。何その、楽しそうな顔。
大志は布団に突っ伏して足をばたつかせた。
「あ〜〜〜、やべぇやべえ! 正義ちゃんはやっぱいーわー」
「……お前、ちょっとは小波に悪いと思わないの」
「んあ、何がー?」
「あいつ、普通にぼっちじゃん。ただでさえ友達いねえのに、それで喋るなとか言われたら、絶対友達もできねえぞ。小波はそこまで悪くない奴なのに、なんつーかその……」
「なあー、ほんっと正義は馬鹿で可愛いんだよ! あははは!」
「…………お前」
「俺の言うこと素直に守って、俺の言うこと迂闊に信じて、俺に逆らったりしねえのあいつ! だからさーセイ」
「なんだよ」
「俺は早く、正義が俺だけしか頼る奴いなくなればいいって思ってんだよね」
「……何が言いてえの、お前」
「わかるだろ、馬鹿かよ」
「…………俺に、小波と関わるなって?」
「そゆことー」
歪んだ笑みを浮かべる大志を見て、俺は心底小波に同情した。
今日の、一人ぼっちの小波の姿を思い出す。
何をするにも、どこに行くにも一人ぼっちだった。高校生活しょっぱなからやらかしてしまったのは、勿論小波自身の責任ではある。あいつがもっとちゃんとした格好で入学していたら、今みたいなことにはならなかったのかもしれない。
でも、小波はあくまで普通の人間だ。
少なくとも、こいつよりはまともな感性を持ってる。お面をつけてなければ、誰かと交流してる未来もあったのかもしれない。でも、今は一人ぼっちだ。それは、本当に小波だけの責任か?
大志が、可能性を潰してるんじゃないのか。
「……大志、お前、さあ」
「ん?」
「お前、本当に今日、風邪だったの?」
その問いかけに対して、大志は勿論、と笑ったけど、どうにも胡散臭い。
もしかしてこいつ、自分が休めば、小波が一人になると知ってて休んだんじゃないのか、そう、考えてしまう。そうすれば、小波がもっと自分を頼ってくれるかもしれないから。……俺の考えすぎだろうか。
でも、こいつは昔から、腹の底では何を考えてるか、読めない奴だったから。
「そもそも、俺が守ってあげなかったら、あっと言う間にお財布コースだったよあいつ、だから、俺がもらっていいじゃん」
「わかんねーだろ、そんなの。つか、お前のその謎理論、昔から意味不明なんだけど」
こいつのこの、誰も選ばれない奴を選んですぐ自分のものにしたがる癖、どうにかした方がいいと思う。
小学生の時だったか、片目のつぶれた金魚がいて、大志はそれを気に入ってよく世話をしていた。
死んでしまったときも、お墓立てる? って聞いたら、首を振って笑顔で死骸を持ち帰ってた。あん時は心底気持ち悪って思ったけど、その頃から何も成長してないなこいつ。
どん引く俺に対して、大志はげらげらと笑う。
「別にセイに理解してもらおうとか思ってねえから別にいーよ! ただ、三度目はないからね」
「は? それってどういう」
その時、大志の家のチャイムが鳴り響いた。大志はその音を聞いてぱっと目を輝かせる。
「あっ、来た!」
「来たって誰が」
「うるっせ、お前もういいから帰れ。正義ちゃーん! 入っていーよー!」
大志が元気良く階段を駆け降りていく。やっぱめちゃくちゃ元気じゃねえかお前。
つか小波? なんであいつがここに来るんだ、と思ったけど、別になんてことはない。多分、大志が呼んだんだろう。風邪を口実に呼ばない手はないし、小波もきっと断らない。断れない。
俺は、蜘蛛の巣にかかっている蟻が頭に思い浮かんだ。
大志の後ろから、俺も階段を下りていく。玄関のドアを開けると、狐面をした小波が立っていた。こいつ外でもこのお面つけてんのか? と思ったけど、小波は俺を見て頭を下げたから、俺がここに居ることを大志から聞いていてつけてきたのかもしれない。
どこまでも徹底してる奴。じっと大志を見ると、目が合った。
「あれ? セイお前まだいたの、早く帰れよ。じゃあまた明日!」
「お前酷いな」
「セイくんアタシと離れるのが寂しいのぉ? や〜ん、照れるう」
「きもっちわり!」
「はは! じゃあ、また明日なー!」
「…………」
チャラけた雰囲気を出してはいるけど、さっさと帰れ感は強く感じ取っていた。俺は邪魔ってか、まあ、そうだろうけど。
小波が気遣わしげに、俺にちらちらとこっちに視線を送っていて、俺は無意識に小波に手を伸ばしたけど、大志に呼びかけられてその手を止めた。
「セイ」
「……っ」
「さっき言ったこと、忘れんな?」
「…………わかってるよ」
三度目はない、って、そういうことか。
小波は不思議そうな顔をしていたけど、俺は、それ以上は何もいえなかった。小波に行くな、とも、何も。
それじゃあまた明日学校で。言いながら大志は俺を追い出した。
バタン、と玄関のドアが閉まる。
「…………」
このドアの奥で、一体小波は大志に何をされているんだろう。それを想像しようとしている自分が嫌だ。
頭の中で、科学準備室の小波の姿が浮かび上がってくる。小柄な体が、大志の上で揺れていた。顔は見えなくて、でもそれが逆に……いや、忘れろ。あれは、ただの夢。そう、夢だと思えばいい。
だけど、振り払っても振り払っても、縋る様な目の小波が脳裏に浮かんでくる。
ぐしゃぐしゃと髪の毛をかき乱した。なんだこの? なんかすげえもやもやする!
俺はどうすりゃよかったんだよ。
あーあ、ばっかみてえ!
終わり
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