混ぜるな危険



静雄さんチョコ用意出来なくてすみません。
そう謝ったら、『じゃあお前がチョコな』とかワケわかんない事言い出した。
冗談だと思ったら、台所でしばらくごそごそした後小さめのボウル片手に戻ってきた。
辺りに漂う甘い匂いに、ボウルの中味が溶けたチョコだと言うのはすぐ分かった。
冗談ですよね、と言おうとして諦める。あ、この人やる気満々だ。半分泣きそうな気持ちでボールを置いて自分の服に手を掛けた大人から目を反らす。
そんな残念な事をしようとしてるのに、格好いいと思ってしまうなんてイケメン詐欺だ。
いや仕方ないけど。
イケメンだからどうこうじゃなく、静雄さんだから仕方ない。
そもそも、最初からちゃんとチョコを支度しなかった自分が悪い。いくら男同士だからと言って、こう言うイベントに相手が期待する事位考えておくべきだったのだ。
甘い匂いが強くなる。はだけた自分の胸に、静雄さんが指で掬ったチョコがトロリと擦り付けられたのだ。
まだ温かいソレはいっそ気持ち良い位で、胸板から左右の尖りにまでたっぷりと塗り広げる動きにはぁっと溜め息が零れる。
ふと遠ざかる手に悪戯心が起き、帝人はその手を捕らえた。
何だと問いかける視線を意識しながら、チョコにまみれた指に舌を這わせる。
相手が息を止めたのは指の緊張で分かった。
かまわずゆっくり舌を動かす。下から上へと溶けた茶色を舐めとれば、舌先にびくっと震えを感じた。
閉じていた目を開け、相手の様子を伺えば、真っ赤になりながらこちらを見ている彼と目があった。
口が何かもごもごと動いている様だが、声の小ささと口に反対の手が当てられているのとでよく聞こえない。
何となくふわふわした気分になってきて口を開く。
「…ご馳走さまでした。」
そう言って、そのまま手を自分の方に引いた。
逆らわずに引かれる彼の手を、少し逡巡してから自分の胸元に押し付ける。
冷め始めたチョコはそれでもまだ柔らかくて、ぬちゃりと指が沈む。
そのまま指はゆるりと動いて、甘苦い固まりを掬い取って。
「…美味いな、やっぱ。もっとくれ。」
自分の指に絡む茶色を舐め取って微笑む唇が、ゆっくりと胸に近付くのに帝人は笑いかけ、そのおでこにキスをした。

…ちなみに次の日の朝、帝人は謎の頭痛にウンウン唸る羽目になる。
原因は台所の奥に隠され…たまにちょっとだけ、ジュースに混ぜられたりしているらしい。
本人の知らぬ間の飲酒、しかも未成年。
まぁそれを言ったら未成年淫交ゴニョゴニョな訳なのだが。

混ぜるな危険、お酒は二十歳になってから。
でも帝人君にお酒をちょっと盛ると良い感じに積極的になってくれる様です…。

【end】



【オマケ呟き】

ちなみに、チョコ溶かすのに生クリームとウイスキーぶち込んだ静雄さんでした。

その内ウォッカが常備されて、オレンジジュース飲んだ後は何故かベットヘ・・・って展開を考えると滾る。
外でオレンジジュース飲んで静雄さんちのと違うなぁ?とか考えてたら笑えます。
帝人くんソレ騙されてるーっ(w
で、二十歳になって飲み会で初めてスクリュードライバー飲んで、静雄さん家に怒鳴り込みに行くんですね。
でも酔ってるから静雄さんに返り討ちで美味しくmgmgと(w


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