しる抱く

「…ご、ゴメンなさぃぃっ!」
何でこんな事に、と彼…キングカズマ(現OMCチャンピオン)はベタベタの髪に手をやりながら思う。
目の前で必死に謝罪するリス型アバターのケンジは涙目だ。
ベタベタの原因は目の前のテーブルにある苺と、ケンジの手の中にある赤いチューブ。
「ケンジこそ汚れてる。」
チューブを握ったまま転んだので、ケンジの着ているTシャツはべっとりと練乳にまみれ、ドングリのロゴは見る影もない。
ひっくひっくとしゃくり上げるリスを抱き寄せて。ふむ、と彼は思案した。
これは如何するべきだろう。
二人ともお風呂に入って流すのが一番なのだろうが、腕の中の思い人(天然)がここまで動転している状況は中々無い。

「ケンジさん、良い匂い。美味しそう。」

ふんふんと鼻を擦り付けても、泣きじゃくる相手は隠した下心など気付きもしない。
そっと抱き上げて、その涙をぺろりと舐めて、ちゅっとキスを落とす。

甘い匂い。
ミルクより苺より甘い匂い。
そっと頬に口付けて、そのまま唇を覆う。
ぽろぽろと涙をこぼしていた瞳が大きく見開いて、手のひらの中でうなじの毛が逆立つ。
手のひらで毛を撫で付けながら、でも唇は離さない。鼻先に感じる相手の吐息が、ゆっくりと甘く溶けて。
口の中を掻き混ぜていた舌に、ゆるゆると相手の舌が絡み付いて。

「…シテ良い?」

問いかけに頷いて、そのままケンジは真っ赤な顔で唇に吸い付いてきた。可愛すぎる。食べちゃいたい。
いや、今から食べるんだけどね(性的な意味で)。

いただきます、とキングが手を合わせたかどうかは、それは本人にしか分からない。

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ウサリス絵茶中に書いたアホいSS一本。一応初ウサリス。
20091121up


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