Efflorescense・サンプル



【この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ】

どこで聞いた言葉だっただろうか。そんな暗澹たる言葉を思い浮かべる位に、この店の扉は自分に取って絶望と地獄の象徴だ。
色気もそっけもない、何の変哲も無い扉を前に、少年…竜ヶ峰帝人は溜息を吐く。
週に一度、指定された時間にこの店に来店する。表向きはマッサージの練習を受けるというバイトだ。ただでマッサージが受けられる所か、時給も出る。無論、世の中にそんな美味しい話が存在する訳が無い。
これから始まる時間は、自分に取って生き地獄だ。今からこの店の人間達に、自分は弄られ、嬲られ、犯される。

自分は男なのに、男に犯されるのだ。

疲れていたのだ、と言うのは警戒心の薄れた言い訳にはならないだろう。
無料マッサージのチラシを差し出した優しげな笑みと勧誘にのってしまい、うかうかと寝台に上がったあの時の自分を殴り飛ばしてやりたい。

もちろん、最初は普通のマッサージだった。その心地良さに何時の間にか自分は眠ってしまい…ふと気が付けば裸にされていた。ぐちゃぐちゃと響く音が身体中から響いて、何本もの手が肌を這っていた。
気持ちの悪い、舐める様なその動きに思わず抵抗しようとした。だが、無理だった。手も足も全く動かせなかった。
見れば手首も足首もぎっちりと細い縄に戒められ、擦れた痛みを生むだけで緩みもしなかった。
身動ぎも出来ぬままに必死に首を廻らせれば、自分を勧誘してきた男に気付いて、罵倒しようと口を開いた。
だが、出たのは甘い悲鳴だった。

じわりと目頭が熱くなり、帝人はきつく目を瞑って鼻を啜った。
泣くものか。ここで泣いたら、余りにも自分が惨めだ。
行きたくない。
行きたくないのに、容赦なく時計の秒針は進む。
行きたくないけれど、ずるずると帝人は歩き始めた。

陰鬱な表情で握る携帯の画面には、5分前に届いたメールが表示されている。
柔らかな素材で出来たマッサージ施術の為の着替え服。簡素な出来の上着だけを羽織り、前を閉めずに肌を晒した自分の写真が写っている。
胸も腹も下半身も全て晒している。下着など無く、顔の脇に付くくらいに折りたたまれた足の付け根には男の頭が埋まっている。その男が足の付け根で何をしているのかは自分の身体で覚えている。
あの男の口の中に自分のペニスが納まり、あの男の指が自分の後門を穿り返していた。
掲げられた膝裏や足首は別の男が掴んでいる。苦痛と快楽に喘いで、前後不覚になっている自分の顔の脇には、立っているその男の男根がそそり立っている。この後、自分は脅され、促され、焦らされて最後にはその巨大な大人の一物を口に含んで愛撫する方法を教えられたのだ。
毎週送られてくる写真はどれも正視に耐えないような代物で、だからこそ自分は逃げる事も出来ないまま嫌々ながらこのドアの前に立たざるを得ない。




10月10日COMIC CITY SPARK5での頒布を予定している
マッサージ屋モブ×帝人小説本サンプルです。
ゲストとして表紙をもにか様
小説カットを白熊五郎様にそれぞれお願いしました!
とても俺得ではありますが、素晴らしく豪華な本になりそうです。
どうぞヨロシクお願いします!
なお、頒布SP等は後日Upさせて頂きます。戻る
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