お仕置きだよ
「綱吉君は、雲雀恭弥が好きなんですか?」
始まりはこの一言だった。
「えっと、骸。もう一回言って?」
「だから、君は、雲雀恭弥が好きなのか、と言ったんです」
綱吉は唖然とした。二人は一応恋人同士で付き合っている。まさか、自分の思い人にそんなことを聞かれるなんて思いもしなかったのだろう。
それに、これは綱吉の想いがまるで届いてないってことを意味している。
「いっつも言ってるけど、俺が好きなのは骸だよ?」
「〜〜、嘘です!」
照れてはいるが、綱吉の愛の言葉は否定された。いつもはうるさいとか知ってますとか軽く流す骸だ。やはりなにかあったらしい。心当たりのない綱吉は、もう一度、骸をなだめるように言った。
「ほんとだよ、俺が好きなのは骸だけ」
すると、骸は重い口を開き、ゆっくりその言葉の原因に当たる部分を話した。
「だって、雲雀恭弥が“綱吉が君に構うのは顔が好みだからだよ、そろそろ飽きて僕のところに来るだろうね”って…。……ねぇ、綱吉君、僕、顔だけなんですか?」
そう言うと、骸は俺に抱きついてきた。よほどショックだったのかいつになく弱気だ。
話を聞く限り、骸は雲雀に変なこと吹き込まれ嫉妬していたのだ。おそらく、いつも言っているからこそ綱吉の言葉は軽いものと勘違いされたのだろう。
(雲雀さん、骸のこと嫌いだからな。今度注意しよないと。でも………
骸に嫉妬されるなんて嬉しい。)
骸は消極的というかあまり気持ちを露にしない。綱吉からすればめったに見れない恋人の姿だ、嬉しい気持ちもある。
(だけど、喜ぶより骸を安心させてあげないと…。)
「信じなくていいよ。俺は、骸が好き。もちろん顔だけじゃないし、雲雀さんに恋愛感情はない。」
「……わかりました…」
……口では分かったって言ってるけど、まだ疑ってるな。なんとなくだけど、そんな気がする。まだ、目、合わせてくれないし。でも、そんなに疑われるとイライラしてくる。ほんとに骸しか好きじゃないのに。そうだ!
「骸。まだ、俺のこと疑ってるよね?」
「そんなこと…ないです…」
「ほら、疑ってる。そんなに俺のこと信じられないんだったら…
綱吉は骸の耳元で甘い響きをたっぷり込めて囁いた。
「身体に教えてあげるよ」
さぁ
楽しい楽しいお仕置きの始まり