本日のドルチェ | ナノ
「やぁ」
イタリア某所、ボンゴレ本部アジト。
セキュリティなにそれおいしいの?とばかりに執務室の窓を豪快に破って、彼は涼しい顔で挨拶した。
「〜〜〜〜〜ひ・ば・り・さぁぁぁぁん!!あなた何回、いや何十回何百回何千回言ったら分かるんですか!?ちゃんと入り口から入ってって」
「ん」
俺の声を遮って突き出してきたのは、ビニール袋。
「な、なんですか、」
「溶けないように持ってくるの、大変だったんだからね」
よく見れば、ビニール袋には緑と青のロゴが入っている。
「・・・しばらく連絡無いと思ったら、日本行ってたんですか?」
「うん。ほら早く」
ぐいぐい押しつけてくるそれを受け取った。
「・・・あ、」
中身は、ソーダ味のアイス。
「昔はよく食べてたよね」
「うわっ懐かしー・・・え、いいんですか」
「もちろん」
たかがアイス一本で、とは思うけど、俺は少しうきうきしながらパッケージを破った。
「じゃ、いただきますー」
爽やかな水色を一気に半分かじる。きーんとした冷たさが口いっぱいに広がった。
「あー、うまーい・・・」
「いつも出されるデザートは、お気に召さないんだ?」
「いやそれも美味しいんですよ?けどやっぱ、馴染んだ味があるというか、ね」
「そんなに美味しいの?じゃ、ちょーだい」
返事をする前に、顔が近づく。
・・・あぁもう、唐突な。
冷えた口の中で蠢く舌は、とても熱い。
ひとしきり舐め回してきた後で、彼はぽつりと呟いた。
「・・・安い味」
「そりゃそーでしょうね、昔っから高級品食べ慣れてる雲雀さん?」
「ワオ、キスについてのお咎めは無し?」
「今さら咎めてどうするんですか?」
「つまんないの。昔はすぐに真っ赤になったのに」
「もう慣れましたよ」
「・・・へーぇ?」
切れ長の目が、すぅっと細められる。
「“慣れた”?僕とのキスはもう“慣れた”?」
「だ、だって、いつでもどこでもしてくるじゃないですかっ」
「あっそ。じゃあ僕とのキスはもう嬉しくないんだ」
「はぁ!?」
なんでそうなるんだ!?
雲雀さんはそっぽを向いて、俺の椅子にどっかりと座りこんだ。
「久々の逢瀬だってのにさ、冷たいよねぇ?僕の好意をこんな形で踏みにじるなんて」
「〜〜〜〜っんなわけあるかぁっ!!」
俺は残りのアイスを平らげたあと、雲雀さんにキスをした。
一気食いのせいで頭が痛いけど、そんなの構ってられない。
「ん、んんっ・・・」
あーもう、普段どんな感じで舌動いてたっけ?間違って噛んじゃいそう・・・
「っ、ぷはぁっ!」
酸欠寸前で唇を離す。
目を丸くする雲雀さんに、俺は言ってやった。
「あなたとのキスは、もう日常なんですよ・・・あなたがいつでもどこでもするから、いつもしなくちゃ落ち着かなくなるくらい・・・当たり前になってるんです」
あー、顔が熱い。たぶん今真っ赤だ。
言うんじゃなかった。すっげー恥ずかしい・・・
視線を泳がす俺を見て、雲雀さんはクスクス笑う。
「・・・それなら、今からたっぷりしてあげなくちゃね」
言いながら、俺を引き寄せて膝に乗せる。
「お手柔らかに、お願いしますよ・・・」
割れた窓から入り込む温い風が、俺たちの間を通り抜けた。
何が書きたかったのやらさっぱり。
とりあえずファ○マってガ○ガリ君売ってたっけ