大ダメージ




「只今帰りました―!」









「天秤座の童虎。
任務から帰還しました。」







「牡羊座のシオン。
同じく無事任務を達成し、帰りました。」









久々に教皇宮に来た時、
何だか妙にほっとした。








「サナエ!」






「ぐぇッ!?」








上座に座ってたサーシャは、
わき目も振らず走ってきてあたしの胸に飛び込んできた。
受身とか、構えとかして無くて、
思いっきりよろけたけど何とか尻もち付かないで済んだ。










「サナエ……良かった…無事でよかったぁ…」







「サーシャ…。」











ボロボロと大粒の涙を流して、嗚咽まで漏らすサーシャ…。
なんか、すごい罪悪感。









「なんか、ごめん。
あたし何も考えずに飛び出ちゃって…。」









目先の事ばっか考えて、
周りの事、考えてなかったな…。









「いいんです…ヒグッ…そんなこと、良いんですぅ…。」











なんか、やばい。
アローンくんも可愛かったけど、サーシャもめっちゃくちゃかわええ!
なんだこれ、ちょ、あたしそんな趣味なんてないけど、これはまずいって!











「サナエ…。
顔がゆるんでおるぞ。」







「あ。マジで?」










しまった。
顔に出てたか…。


慌てて、真面目な顔をつくる。











「サーシャ。
あたし、少しでも平和な世界をつくることに貢献できたかな?」






「貢献…どころじゃないです!
あなたは、世界を救ったんです!」







「大げさすぎだよ。
それに、まだ“休戦”でしょ?
これから、それを“停戦”…ううん。
“終戦”にしなきゃなんだよ?」













あたしがやったことは、ほんのちいさなことだから。
それを、これから大きくしなきゃいけないんだし。










「ええ…。
でも、私たちだけは“休戦”までいくことすらできませんでした。
いいえ、そんなことは不可能でした。
それを、あなたが可能にしてくれました…。」










抱きつくのを止めて、その場に膝まずいた。

ん?
ってぇぇぇえぇぇえええ!!??







「ちょっ!?
サーシャ!?」






なになに!?
なんであたしなんかに膝まずくの!?
ちょっ!?やめようぜ、やめようぜぇええ!








「やめよ!
いますぐやめよ!すぐやめよう!」







立たせようとするけど、全然ダメ。
立ってくれない…。











「ですが…。」







「あたしなんかにひざまずくなんて、こっちが恐れ多いよ!
てかあたしの方がやんなきゃいけないよねぇ!
マジで、マジで落ち着こうサーシャ!」






「お前が落ち着け!」








これが落ち着いてられるかぁぁああ!!
傍から見たら悪役あたしだよね!
美少女ひざまずかせてる悪徳代官的ポジだよねぇえ!!??












「サナエ様。
アテナがそうしたいと申しているのだ。
素直に受けるといい。」







「セージさん!
いやいやいや、無理無理無理です!
あたしの心臓に悪いんです、
ていうかあたしの心に大ダメージなんですゥウウ!!」










その後十分くらいもめて、何とかサーシャを立たせることに成功した…。
なんだろう、ハーデスをひきはがした時よりも体力使った気がするんですけど…。











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