探し当てる




私は花が綺麗に咲く、清らかな小川の近くまで来た。
最初場所を移動するといった時、理由を聞いたら
シオンさんが「大地の女神と話すには大地の女神の加護力が強い場所に行くのが一番早いはずです。」といったからだ。
そんなことでデメテルが離してくれるのかはわからないが、信用するしかない。



「でも、風が気持ちい…。」


川上から吹く風に、私は身を任せる。
とても心地が良い。
穏やかな空気に、日で暖まった地面からは小宇宙を感じる。


「デメテル、あたしに力を貸して。」


目を瞑ってそう念じた。



「!」
「これは…。」




近くにいるはずの童虎とシオンさんの声が遠くに聞こえる。
それくらい、私は今集中しているのだろうか?



―愛しい我が娘
 そなたがそれを望むなら、私はその力をいつでもかしましょう。



「ありがとう、デメテル。」




デメテルの声が頭に響いたとき、とても不思議な感じがした。
まるで、この世全体が水の中に入ってしまったかのように、静かになった。
その中で、童虎とシオンさんの気配だけが、
まるで水面に咲くハスの花のように飛び出ていた。




あと強く感じるのは、自分の気配と、もう一つ。




黒くて、大きな気配。





「見つけた…。」





私は目を開けて、その気配の元に一目散に走っていった。




「おい!サナエ!!??」
「サナエさま!」





背後で叫ぶ二人の声すらおいて、私は駆け抜ける。






  

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