運が悪い再会






「・・・それは」
「おい、耶人。
それはいいすぎだろ?」
「サナエには、特別な訳があるんだろ?」

「だから、その特別な訳って何だよ!!」



いつの間にか、雰囲気が怪しくなってきてる。
私のせい、だよね…。



「耶人くん。
 おれが特別扱いされてる理由、そんなに聞きたい?」

「あ?」



このままじゃ、駄目だよね。
あーぁ、もともと今日の脱走で説教は確実だったさらに延長かなぁ。



「俺が、特別扱いされてる理由。
 それはな…

 俺…いや、私が「テンマ!レグルス!耶人!」・・・。」




私の言葉にかぶせるように、誰かの声が重なる。
邪魔された私は反応できずに固まっていると、声の方向・・・私の背後を見た三人がパッとリアクションを取った。




「童虎!」
「あ、ホントだ。
 珍しいな、こんなところにくるなんて・・・・。」


…え、童虎?
・・・・えええええええ!?


「久しいのう!
 おぬしたち、前見たときよりは成長してるようじゃな!」


聞き覚えのありすぎる声に、戦慄が走る。
こ、この声は間違いなく童虎だ!
何でこのタイミングでくるんだよ!!!



「童虎のこと最近聖域で見なかったけど、どこ行ってたんだ?」



…そういや、最近見てなかったなぁ。
すっかり忘れてたけど。



「ちょっと野暮用でのう。
 ・・・・そっちのは?」
「え?コイツか?」


童虎がずっと振り向かないで固まる私を気にかける気配がする。
それでも振り向けないで固まる私に、隣に座っていたレグルスが反応した。


「ああ、こいつはサナエ。
 最近来たんだってよ。」


何も知らないレグルスが、童虎に私のことを紹介してくれる。


「サナエ…?」


童虎の声が「え?」って言う声になった。
観念した私が、諦めた顔で振り向いた。
目を見開いた童虎と、目が合う。


「や、やほー・・・。
 久しぶりだね、童虎。」


「………………………………………………………………………………………え?」




誰が発したか分からない。
随分とした間抜けな声が聞こえた。




サナエ−−−−−−−−−−ッッ!!??」



童虎の叫びが闘技場に響く。
私は渇いた笑いをするしかなかった。



「あ、はははははは…。」





あーあ、顔見知りの黄金聖闘士だけには見つかる気なかったんだけど…。
今日はどうやら厄日だったらしい。








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