全力逃走!





「暇だ…。」






今日はセージの諸事情のため小宇宙の扱いの訓練は中止になった。
いつもなら聖域を見て回るところなのだが、そう言う気分にならない。



「…そういやば。
聖域に外に出たこと無いな。」


ここにきてしばらくたったが、外に出たことはない。
ここに来る前に少しだけ居た程度で全く外の様子はわからない。
・・・文化水準的に私がいた時代より前だとは思うけど…。


「気になる…」


私はムクリとベットから起き上がり、行動を起こすために着替え始めた。



―――




「セージさーーーーん!」
「サナエ様。どうしたのですか?
 今日は修行はないはずなのですが…。」


セージさんの執務室に行くと、セージさんは書類に埋まっていた。
仮面でよく見えないが顔が軽くやつれているように見える。
そんなときに、こんなことするのは心苦しいが、好奇心には勝てない。


「出かけてくる!」


出来るだけナチュラルに言えば問題ないはず!



「ほう、どこにおいでに?」
「…どこか!」
「却下です!」


爽やかな笑顔で却下された。
口元しか見えないが、良い笑顔をしていることが分かる。



「何で!?」
「どこに行くという明確な答えが出せない限り駄目です!」


その言葉に、私の中の天邪鬼な部分がにょきにょきっと顔を出す。


「…。
 じゃあ、言えばいいんですか?」



今のあたしは多分、めっちゃくちゃ性質の悪い笑顔を浮かべていることだろう。



「は?」


「聖域の外に行ってきま――――す!!!!!」





そう叫んだいる間に、セージさんの前から走って逃げる。
そりゃ全速力で。




「なんですとォオオ!?
 サナエ様ぁああ!!!??」




背後でセージさんの絶叫と積み上がった書類の山が崩れ落ちる音が聞こえるけど、
聞こえないふりをしておこう。








サナエ様あぁああああ!!!??









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