◎男装系女子?
教皇の間で私はセージさんと睨みあう。
近くにいる女官さんたちがオロオロと私とセージさんの姿を交互に見る。
緊張感が漂う中で、私はセージさんに主張をした。
「男装したいです!」
「却下です!」
今日、この会話朝から何回繰り返してるのだろう。
「だってセージさん!
女性が聖闘士となる場合は、
女であることを捨てて常に仮面を被る必要があるんでしょ!?」
「それは聖闘士の場合です!
あなたは女神ですぞ!?」
「あたしだって前線に立つのなら変わらないし!
女の身空じゃ馬鹿にされかねないよ!私はこの聖戦を終わらせるために男装をしたいっていってんですよ!」
事の発端は、童虎と雑談をしているときに「女性が聖闘士となる場合は、女であることを捨てて常に仮面を被らなくてはいけないんじゃ。」と教えてくれたからである。
自分は女なのだから、女神であろうと仮面を被るべきだと認識したのだが
「仮面なんてダサいからいやだ!
絶対息苦しいし、前見えなくて転ぶ未来しか見えない!」
と、つっかえしたあげく、
「じゃあ男装しよう!」
という発想に至り、セージさんに相談をすることにした。
セージさんが用意してくれる服は女性物しかないから仕方がないし、
今後のためにも一度相談したほうがいいだろうと思ったのだが…まさかの大反対。
そうして朝からずっとセージさんとこうしてお話し合いをしている。
…自分でも幼稚な発想だな、っていうのは分かってます。
でも、自分なりに必死に考えた結果なんだし!
「とにかく!女神である貴女が男の姿をするなんて言語道断です!」
「いいじゃないですか!
男の姿でいれば目立たないし!動きやすいし!敵の目も欺けますよ!」
「そう言う問題ではなく…」
多分今は昼前。
かれこれこの会話を朝から続けたセージさんには疲れの色が見えてきた。
全くひかない私への呆れもあるとは思うが、話を切りあげるなら今がチャンスだ。
「もー!それで決定ね!
はい、しゅーりょ!」
「あっ!?
サナエ様!?」
私は逃げるように自室に戻った。
後ろからセージさんが何か言ってるが、聞こえないふりだ。
「ッやふぅい!」
かくして、強引にセージさんを押し切り、男装の許可を無理に出したのであった。
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