寒い台詞



「、え?
効いてない?誰に?私に?」
「普通、とげに刺された場合死ぬのに。
 なぜ…」
「はっ!?
 危険すぎません!?
 …ん?じゃあ、刺さったのに死んでないのは何で?」


ためしとばかり、もう一度薔薇の棘に触れてみる。
案の定、とげが刺さった。
しかも今度はとげが折れて刺さってる。



「いったぁああ!?」



慌てて刺さったとげをぬき、血をなめる。
深く刺さった所為で指先がジンジンと痛みを訴える。
その一連の行為を直接見た男性は、有り得ないとばかりにしきりに首を振った。


「な…なぜ…?」
「そんなこと私に聞かれても…。
 実はその話嘘なんじゃない?」
「それはない。この薔薇の毒にやられて死んだ人間がいると思ってる。」


物騒すぎる発言に思わず目を剥いた。
・・・誰だ、こんな危険な薔薇植えたの。
あ、この人か。
そこまで考えて、私は目の前の男性が何者なのかを知らないことに今更気が付いた。


「…ちなみに聞くと、あなたは?」

私がそう聞くと、男性は少し警戒したような顔をしたが素直に答えてくれた。

「…魚座のアルバフィカだ。
 そう言うお前は?」
「誰かに言うような肩書はないけど、名前はサナエ。
 ただの居候だよ」



うん、居候だよな。
そして魚座という聞いたことがある星座と、この人が着込んでいる金色の鎧で思い当たる。



「もしかして、あなたも黄金聖闘士?」
「ああ」
「じゃあ、会ったのは三人目だ。
 童虎とアスミタさんとあなたで」



…黄金聖闘士ってどうしてそうもきれいなんだろうか。
なんてくだらないことを考えてるとしばらく黙っていた、アルバフィカさんが聞いた。



「…お前は何者だ?」
「え?」
「お前は、何者だ?
 毒がきかないなんて、あり得ない。
 普通の人間では考えられない。」

「…ただの居候。
 兼、女神様ってところかな?」
「…なんだと?」


「私、そろそろ戻らないとだから。
 またくるよ!
 アルバフィカさん!」




私はいそいでその場から逃げた。
深い意味はないけど、なんか詰め寄られて怖かったっていうのが一番の理由です。




「女神様、か。」



自分で言って分かったけど、かなり寒いみたいだ。
この台詞。








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