分からないこと




部屋から追い出された童虎は、サナエの事を思っていた。


「変な娘じゃのう。」


美しいか、そうじゃないかと聞かれれば綺麗な部類なのだろうが、随分女っ気がない。
もし、男装したら貫き通せそうな感じもある。
どちらかと言えば中性的で、性別のくくりを感じさせない美しさだった。


だが、不思議で、どこか頼りたくなる。
一緒にいると満たされるものがある。



「デメテルの、力かのう?」



ゼウスの姉神。
大地と豊穣の女神。
アテナと違う女神。
どうなるのか、全く分からない。

お先真っ暗な状態に、思わずため息をつくとガチャとドアが開いた。



「おまたせ。」




ドアが開いてサナエが出てきた。
その服は、渡したはずのものとは違った。



「あの服はどうしたんじゃ?」
「着てますよ、この下に。」



ピンクのジャケットの下にきてるというドレス。
しかし、明らかに丈が短い。




「…切ったのか?」
「邪魔だったから!」




改めてその姿を見てみる。
長い髪を一つに結び、ブラウスに純白のスカート。スカートの丈は膝よりも短い。



「…普通の娘、なんじゃがのう」
「なに、それ。
 私は普通の娘ですよ!」


それより、早く行こう。
そう促す少女のあとに続き、歩き始める。
自信満々に歩を進める少女に、童虎は声をかけた。



「…のう、サナエ。」
「なに?童虎さん。」
「そっち、逆方向なんじゃが。」

「先に言ってよ、そう言う事はぁああ!!!」





               

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