雨の中の出会い




目を開けた時、あたしは地面に横たわっていた。

「っい…」

体中が、きしむように痛い。
血を流しすぎたせいか視界はかすれて周りがよく見えない。
ざあざあと激しい雨の音と、体を濡らす冷たい感覚がここが外であることを教えてくれた。

「……雨、か。」

うつぶせの体を起き上がらせようとしたけど、全然駄目だった。
体が鉛みたいに重くて、上体を起こすことさえできない。

あきらめて、あたしは仰向けになるため、体を横に転がした。


「あ、ははは。
あの世でも、雨は降るんだぁ…。」


知らなかった事実と痛みからくる興奮から乾いた笑いが漏れる。
まだ、黄泉平坂を通った記憶はないけれど。
でも、万一にも生きてるなんてありえない。

だって、あたしは神の通り道で体ごと消滅したはずなんだから。


「早く、マニゴルド探さないとなぁ…。
セージ様に、あの人とまってるって約束しちゃったし。」

でも、どうせ会えるか。
だってコキュートスにいるんだろうし。
あたしも、神に仇なした訳だからいくことになるはずだし。

「おい!あんた大丈夫か!?」

声が聞こえた。
少年らしい、張りのある若い声。

「・・え?」

かすむ視界に映ったのは、赤い毛をした少年。
なんとなく、テンマに似てるな、とおもった。

「傷だらけじゃねえか!
 シャイナさんに、沙織さんに言って治療してもらわねえと!」


慌てたような少年の言葉に、違和感を覚える。
まるで自分を救おうとしているかのような言葉は、
冥界のものとは思えない台詞だった。

「ち、りょう?」




どうして?
どうして、聖闘士のあたしを冥界の奴が治療するの?
てか、冥界に治療なんて必要ないでしょ?
そう言いたかったが、痛みで言葉が出ない。






「そうだよ!
しっかりつかまってろよ!」


赤毛の少年は、あたしを担いであるく。
彼から感じる小宇宙は、本当にテンマみたいだ。

「変、なの…。」

ひどく、瞼が重い。
ああ、どうして死んだ筈なのに体がこんなに痛いんだろ?


そんなことを定まらない意識の中ぼんやり考えた。










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