試験



「ついたぜ!ここがパライストラだ!」


蒼摩について行ってついた数日。
案内された場所は、朽ちかけた石の建物があるところ。
もしかしたらここは、もともと神殿みたいなのが立ってたのかもしれないなァ。


「綺麗なところだね…。
 聖域を思い出すよ。」

あたしの言葉に、蒼摩がぎょっとしたように身を固まらせる。

「はあ!?おまえ、聖域にいたことあるのか!?」
「あー、いい天気だねえ。
 空は青いし、風はさわやかだし!!!!」


そっぽむいて知らん顔をする。
しまった、口が滑った。
結構やばいこといっちゃったかもしれないけど無視だ、無視。


「でもよ此処、何もねえじゃねえか?」


・・・何もないってことは、ここでテストしたいってことだろうな。
あー聖衣きなきゃだめかな?クロストーンに慣れてないから、あんまり来たくない


「あなたにパライストラに入る資格があるのなら道は開けるわ」


そんなことを考えていると、一人の少女が、あたしたちの前に現れた。
ってことは、テストスタートってことかな?

「…だってさ。
 行って来い、光牙」
「は!?」
「私はユナ…。
 鷲座の聖闘士!」

そういうと、その子は光牙に蹴りかかった。
なるほど。この子ブッ飛ばせばいいってお話ね。
なら、話は早いや。


「光牙ー。
 早く交換してね」

光牙に蹴りかかる少女。
へえ、いい動きするじゃんか。


「無茶、言うな!」


防戦一方の光牙。
あの子…ユナっていう子、強いみたいだ。動きに隙がない。
ぼこぼこにされてる光牙に呆れながら、あたしはその戦いを見つめる。


「俺は、アテナの聖闘士になる!!」

あ、やっと聖衣まとった。
おそっ!ユナって子が来た瞬間辺りにきなきゃだめじゃんか!


「ペガサスの聖衣だと…!?」


驚いたような声を出したのは、いつの間にかあらわれたおっさん。
そのおっさんは驚いた表情で光牙を見るけど…だれだ、このおっさん。
自然に入ってきたけど。


「もういいだろう。
 ユナ御苦労。」
「はい、先生。」


…成程、こいつが先生ってわけね。


「先生…ってことは、今の試験!?」
「気が付いてなかったの?
 まあいいや」

おっさんの元に近づいた。
それでいて出来るだけ、他の三人には手元が見えない位置に移動する。

「ねえ、あたしもあの子と闘わなくちゃだめ?」
「お前には、ほかの事をしてもらおう。」
「聖衣をまとうとか?
 めんどくさいから、そう言うのはやめて欲しいんだよね。
 だからさ。」

あたしは指先に、蒼い炎をまとわせた。
出来るだけ、三人には見せないようにしたのは、これをするため。


「!」
「これじゃ、だめ?」
「っ!お前は…」

良かった。
この人鬼蒼焔の事知ってるみたいで。

「南冠座のホタルだよ。
 今は、それだけでいい?」

後ろから光牙が近づいてきたのですぐさま炎を消す。


「よかろう。
 パライストラへの入学、認めよう。」
「やりぃ!!」
「あ、ずりい!
 お前何もしてねえじゃねえかよ!」
「残念でした。
 あたしは光牙よりも高度なことしたからいいの!」


まあ、嘘は言ってない。
実際あれは高度なことだし。
てか、光牙じゃ出来ない。絶対に。


「はあ!?
 じゃあそれを俺にも見せてくれよ!」
「おばか!
 簡単に自分の手の内見せる訳ないっしょーが!」


追求しようとする光牙をひらりひらりとかわしてく。
うん、体の方は大分治ってきてるよ。

「オイオイ、遊ぶなよ」
「ちがうよ。
 光牙が喧嘩売ってきてるだけだしぃ〜!」
「うってきたのはそっちだろ!?」

「おい!聖闘士同士の私闘は…」

「禁止、でしょ?
 でもこれはただの小犬同士のじゃれあいみたいなもんですので。」

掟なんて、耳にたこができるほど言われてたし。
ま、全部無視してやったけど。

「それよりお前は、仮面…。」
「絶対にいや。
 例え殺されてもあれだけは付けないから。」

あんなものつけて生活するなんてめんどくさい!
というかあれはダサいしだるい!

「?」
「ああ。なんでもない。
 きにしないでいいよ。」

掟なんて知らない光牙を、適当にあしらってあたしはパライストラに足を進めた。







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