落し物





火星士たちを巻き、たどりついたのは海辺の街。
田がそこは、あたしが見た度の街よりも大きく、高い建物が立ち並ぶ土地だった。

「なんだこりゃ。何なんだ?この車と人の数は」
「うわ、なにこれ?
今日お祭り?」

「そうか、光牙もホタルも大都会は初めてなんだな」


あまりの大きさと発展ぶりに目を丸くして困惑するあたしたちに、蒼摩が声をかける。

「うん。
 すごいね、これが日常の風景なの?」
「おう、当たり前だろ?」
「当たり前かぁ」


あたしは改めていろんなところを見回す。
昔とは比べ物にならないほど高い建物と、綺麗に舗装された道、行き交う人の多さ。
200年もたつと…ここまで変わっちゃうんだね。

なんて、時代の流れに思いをはせながら港まで歩いた。



「お、この船じゃねぇか?」
「ちょうど出発するみたいだな。ついてるぜ」



港につくと、大きな船が停泊していた。
予想してたより大きい船に再度驚く。


「…これが、船?」
「でかくね?何で沈まないわけ?」

光牙もこのサイズの船を初めてみたからか、私と一緒に呆然と見あげていた。


「おまえ、いきなり不吉なこと言うなよな。」
「いや、マジで謎すぎたから…。」


やっぱり思う。
時の流れって、恐ろしい。

「乗船賃はこちらでお支払いくださーい!」

船の乗組員らしき人がそう叫ぶ。
見れば船のタラップの前には乗客が列が作っており、チケット代を支払っていた。


「だってさ。」
「ええ!」


金銭を管理しているユナが背中にしょってたバックをあさる。
だが、その顔がどんどん青ざめてった。


「ユナどうした?船でちゃうぞ?」
「…ない。」
「はあ?」


なにが?


「瞬さんから貰った財布、落としたみたい…。」


真っ青になったユナが震えた声で告げる。
一瞬あたしたちも理解できずに真顔になったが、その意味を理解すると青ざめた。


『えぇええぇぇええ!!??』





嘘でしょぉおおおおおお!?










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