予選表



光牙を医務室に運んでベットに寝かすと、少したってから光牙は目を覚ました。
元気にエデンに怒る様子から、体調に問題はないようだった。

「ちっきしょー!
 アイツ、今度会ったら絶対ブッ飛ばす!」
「それは同感してあげるけど、
 その前にあんたをあたしがブッ飛ばしたいよ。」
「何でだよ!」


だって何も考えずに突っ走るから!
絶対アホでしょ!知ってたけど!


「ま、これほど減らず口が叩けるなら大丈夫だな。」
「光牙も悪いわ。
 少しは反省しなさい。」

ユナ、ごもっとも!
もっと言ってやれ!


「あいつ!
 振り向きざまになんかやってきた。」
「エデンの属性は雷。
 おそらく、彼の属性能力によって一時的に身体機能をマヒさせられたんだとおもうよ。」
「うん。
 あいつの手から雷出てくるの見たし。」


やっぱ雷だったんだね。
相手に悟られずに属性を繰り出すのだから、やはりエデンは手練れなのだろう。


「それにしても、光牙を一撃で倒すとは…流石エデン。」
「倒されてない!しびれただけだ!」
「それを倒されたっていうんだよ…。
 実戦だったら確実に死んでるよ。」
「っう…」

一瞬で論破され居心地悪そうに視線をずらす。
少しは反省しなさい。

「それより、その辺はどうなんだ?
 優勝候補ナンバー2とナンバー3からしてみたら。」


おーっと?それはあたしか?あたしに言ってんのか!?
だから、その期待だか何だかわからないやつがいやなんだって!

「僕は、目の前の試合を一つ一つ全力で戦うだけだよ。」

流石龍峰!
いう事が違うね!

「んじゃ、あたしも以下同文。
 あたし、負けるの嫌いだし。
 目の前の敵は、全部ぶっ潰してくだけだよ。」
「龍峰・・・・ホタル…。」

「二人の天才…エデンと龍峰がダントツで抜けてると言われてる。
だけど総合力ではエデンの方が頭一つ抜けているという評価だ。」
「でも、本当にそうかしら?
 確かにエデンは強い。
 でも属性なら雷のエデンに負ける気はしないのよね。」
「どういうことだよ。」
「気になる!」
「属性同士のかみ合わせの事だね。」


・・・かみあわせ?


「属性には、相性があるんだよ。
 例えば、俺の操る火が龍峰の水に弱いように。
 ユナの風は雷使いのエデンには厄介ってことだ。」

そういえば、そんなことをあのインテリ眼鏡の講座で言って居たような?
真面目に聞いていなかったせいで忘れていた


「ふぅーん。」
「それはユナはエデンよりも強いってことか」
「そういうことじゃないのよ。」

あ゛ー!属性とか難しくて分からない!
てかめんどくさい!

「そうか!エデンの一回戦の相手…たしか・・・・」
「冠座のダリ!」
「え、それがどうしたの?」
「私と同じ風の属性を操る聖闘士よ。
 彼、属性の授業表彰されたことあったわ。
 他の授業も一番ってわけじゃないけどそつなくこなしていた。
 属性攻撃を主とした典型的な技巧派。
 それでいて弱点が見つからないタイプね。」


ああ。
それは結構めんどくさいやつだね。
バランス取れてるやつって結構厄介だし。


「もしかするともしかする…だな。」
「セイントファイトで優勝するには実力だけではなく運も味方に付けないとね。」
「細かいことはどうだっていい!
 俺はエデンをぶっ潰す!
 それでいてセイントファイトに優勝する!
 それだけだ!」

真面目な雰囲気を壊すように決意する光牙。
しかしその熱い思いに、誰もがやる気に火をつけられた。

「私だって負けるつもりはないわ。」
「あたしもー。
 誰にも負けないよ!」
「皆目指す目標は同じだね!」
「つまり俺達はライバル同士ってわけになるな。」
「ああ!そういうことだ!」

互いの顔を見て、頷き合う。
いいなあ、こういうの。
一回もやったこと無いから、凄い新鮮な感じがする・・・。


「素晴らしいねえ」
「ん?」

突然会話に参加してきたのは、知らない目が寝の少年。
どちら様で?



「セイントファイト出場者が熱い友情をかわしているってわけですか。」
「誰だ?」
「知らない」

光牙に聞かれたけれど、あたしも知らない。
実を言うとここのメンバー以外の名前の顔は全く覚えていない。

「君は…」

あんなひと、同じクラスにいた?


「コンパス座のフックです。
 以後お見知り置きを。」
「あ。ごめん。
 あたし余計なことは覚えない主義なんだ。」


記憶の無駄遣いだし。
そうやってお断りすると、べしっと後頭部を蒼真にチョップされた。


「お前は余計なことを言わんでいい!」
「いだ!?」


蒼摩に殴られた!?
なんか屈辱!



「光牙君。
 一つアドバイスさせて下さい。
 エデンを倒す、結構。
 優勝を目指す?それも結構です。
 でもあまりウエばかり見ていると目の前の事がおろそかになると足元をすくわれることになりますよ。
 それだけはお忘れなく。」

それだけいうと、少年は眼鏡をくいっと上げながら医務室を出ていった。
・・・・なんだ、あいつ。
無駄に気取って、ムカつく―ーー!



「何なんだ、あいつ…。」
「しーらね。
 とりあえずムカつくことは確か。」

だけど、言ってることも確かって感じ。
上見過ぎると、躓いちゃうからね。

「フックって確かお前の一回戦の対戦相手じゃなかったか?」
「俺の?
 知らなかった。」

…光牙君。
顔はともかく、対戦相手の名前くらい知っておこうよ。


「彼も予選を勝ち抜いてきているんだ。
 油断しちゃだめだよ。」
「一回でも油断したら、それは負けを意味するからね。」
「いっただろ。
 俺の目標はエデンを倒してセイントファイトに優勝することだ。
 あんなやつ軽くひねってやるよ!」


自信満々な光牙の様子に見ているこちらが不安になった。
・・・大丈夫かな、この子。


「それより、お前こそ平気なのかよ。」
「心配しなくても、問題ないよ。
 誰にも負ける気がしないし。」

見た感じ龍峰かエデンくらいしか苦戦しないだろうしねー。
属性とかあっても、鬼蒼炎と魂葬破で十分対応できる。

「…お前ら二人が心配だよ。」
「なぜ!?」


あたしってそんなに信用なかった!?






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