始まるらしいよ!



訓練が始まる眼の準備時間。
みんな聖衣を腕だけに装着した。
全身なんてやったら、ただの自殺行為としか言いようがないし。
この程度がベストだろうなぁ。

「なあ、セイントファイトに優勝するとアテナに会えるんだよな?」

やっぱそこにかみついていましたか光牙くん。
予想を裏切らないのも、君だよね…。

「みたいだよね。」
「だな」

質問に肯定してあげると、がぜんやる気を出したのかグッとガッツポーズをした。

「よぉし!
 何が何でもこの試験を合格してやるぜぇ!」
「なら俺はそんなお前の上を行かせてもらうぜえ?」
「うえ行くのは構わないけどさ、
 優勝は譲らないからねぇ?
 あたし負けるの嫌いだし。」

友達だからって、手は抜かないかんな!
・・・いや、この試験突破できるかさえ分かんないけど。
体痛いし、だるいし、眠いし。

「ッげほ!
 僕はとにかく時間内に合格できるように頑張るよ。」

口を抑える龍峰君に、ユナが近づいた。
真剣な瞳で龍峰君を見つめる。

「ねえ、龍峰。
 私達手を組まない?」
「ええ!?
そんなのありかよ!」
「ありでしょ。」

人数指定なんて、言ってなかったし。
不当なことさえしなきゃ、オッケーでしょ。

「檄先生は攻略法を考えろっていったわ。
 合格するために、二人で手を組むのは問題じゃないはずよ。」
「ユナ、どうして…。」
「途中で龍峰の漢方の知識が必要になるかも。」
「ありがとう、僕からもお願いするよ。」
「よかった。
 じゃあ作戦を考えましょう。
 ホタルもくる?」


おっと、そこであたしに話が振られるとは予想外だな。
この二人と組むのは悪くないけど、この程度で誰かと組むのはちょっと違う気がする。

「いーや。
 あたしは誰とも手を組まないで一人で行くからさ。」


そういったら、皆に驚かれた。
そんなに意外?


「!?
 危険じゃねえか!
 俺らと一緒に行こうぜ!」

光牙の言葉に、ちょっと揺らぐ。
そうしたいんだけど、腕がなまってきてるしたまに鍛錬しないとあれだし。
それに、小宇宙なしでどこまでいけるか試してみたいっていう気持のもあるから…。

「ユナも光牙も誘ってくれてありがと。
 だけど、これくらい自分ひとりでできないと自分に納得できないからさ。
 だから、あたしは一人で行くよ!
 皆!あの山の山頂で会いましょう!」

敬礼で別れを告げて、あたしはその場を去った。
ああ言ったはいいけど、時間内にクリアできる自信はあんまりありません。
うーん、無制限ならいいのになぁ。







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