関係




「おせーぞ!ホタル!」
「ごめーん!
 湯あみしてたわ!」

食堂につくと、二人はもう食べ始めていた。
あたしは光牙の隣に座ると、置いてあったご飯を食べ始めた。


「お前ら、この後どうするんだ?」
「あたしは部屋に戻って寝るよ。
 眠い。」

流石に数日の強行軍には疲労が溜まっている。
折角清潔なベットがあるならゆっくり休ませてほしかった。
しかしその返答に気に入らなかったのが、光牙が目を剥いた。

「沙織さんのことが先だろ!?」

そりゃ、沙織のことも心配だけどさ…。


「学園長代理が言ってたでしょ?
 アテナは神殿にいるって。」

「そ、そんなわけないだろ!?
 俺はこの目で…」

「知ってるよ、そんなもん」

あたしだって見た。
沙織がマルスにさらわれるところを…。
だけど、


「いいたいこともわかるけどさ。
 真偽を確かめようにもアテナの神殿は12宮の先だよ?
 2人しかいないとはいえ、それが黄金聖闘士2人だと考えると…。
 今のあんたの実力じゃ沙織の安否を確認するどころか、アテナの神殿にたどり着くことすらできない。
 だったら、今は英気を養ったり、実力を高めることの方が先決っしょ。」

とはいえ、沙織が神殿にいるとはあたしは到底思えないけどね。
あいつの言うことを鵜呑みにする気もないしさ。

「…ホタルって、シャイナさんみたいだな。」
「シャイナよか優しいよ。たぶん。」


でも実はシャイナってああ見えて乙女だったりするんだよなぁ…。

「まあいいや。
 あたしはとにかく、寝るから。」

食事も終わったのでガタンと立ち上がると、あたしは食器を持ってその場を立ち去ろうとした。
でも、その前に少し止まって、流し目で光牙に忠告した。


「あたし、途中で誰かに起こされるの嫌いだから。
 …起こしたら、殺す。」
 
その言葉に、光牙が小さくなる
ぷふっ!
光牙超怯えてるっ!
めっちゃおもしろいわ〜。
なんて、考えながらあたしは自室へと足を進めた。


―――――――



ふわふわとしたベットに倒れこむと、あたしは速攻うとうとした。
あー、旅って疲れるんだよなぁ…。


「疲れた…。
 光牙馬鹿すぎだし…。」


あそこまで手がかかるやつも、珍しいよね。
あーぁ、先が思いやられる…なぁ…

色々とあれこれ考えてるうちに、あたしの意識はブラックアウトした




―――――





「ん―――…。
 良く寝た…。」


ああ、もう夕暮れだ。
少し寝過ぎたかも?


すこしベットの上でぼーっとしてると、かすかにユナ…だっけ?
あの子の小宇宙を感じた。


「…なに、してんだろ?」


あたしは好奇心に駆られてベットから降りると小宇宙を感じる方へ足を向けた。


「よっす、光牙。
 ・・・って、なに、この状況。」

ついたのは広場のような場所。
そこでユナが知らない少年と戦っていたが…。
なんでユナと誰かが戦ってるの?
どういう状況?


「いまあの二人が決闘してるんだよ。」
「ふぅー――ん、成程。
 じゃあ、負けた時の介錯はあたしが付けてあげるよ。」


冗談で、あくどい笑顔を浮かべると後頭部に衝撃が走る。


「余計な事はいわんでいい!」
「あだ!?」

頭を抑えながら背後を見ると、檄とかいうおっさんがいた
いたのか!ムキムキ教師!
てか、気安くあたしをなぐんじゃねえし!


「お前らの様に全く掟を気にしないやつらも問題だが、
 ユナの様に頑な過ぎるのも問題だな」

…いきなり何だよ。
何を語り始めた。


「俺は昔、一度だけ掟を破った。
 まだ、現役聖闘士だった頃の話だがな。」
「てか、聖闘士だったのね。
 山賊でもやってそうな容貌なのに。」
「話の腰を折るな!
 …そのため、一時は聖域からおわれる身にもなったが、その代わり友と呼べるかけがえのない仲間を手に入れることができた。
 そんな俺もいまではパライストラの教師さ。
 アテナの導きでな」


過去に思いをはせる檄の言葉に、思わずあたしも彼を見つめる。
友と呼べる、仲間か…。


「掟を守れば、立派な聖闘士だろうか?
 違う!
 俺が信じる本当の聖闘士とはおのれの中の覚悟!
 心の掟を貫いたものだ!」


・・・あんがい良いこと言うじゃんか、おっさん。
いや、檄先生だっけ?


「……ん」


ユナの小宇宙が、増幅した。
自分の覚悟、見つかったみたいだなぁー。

ユナを中心に竜巻が、闘技場の中心に立つ。
その竜巻は、少年を飲みこみ、そして地面へと叩きつけた。

おお、あれがユナの風の技かぁ。
なんかすごいな。

「吹っ切れたやつほど、強かったりするよねぇ」
「その吹っ切れが出来ないものも、多々いるがな」
「そんなあっさり割りきれるもんでもないでしょ」

あたしは無理だな、絶対。
結構引きずるタイプだからな、うん。


「さてと、あたしはもう帰るね。
 これ以上見届ける必要もないでしょ。
 という訳で、帰るよ!」
「あ、待てよ!!」

ひらひらと手を振って背を向けたあたしを光牙が止めるが、
これ以上ここにいてもお邪魔でしょうからあたしは帰る。

「お前、本当に自由な奴だな…。」


自由で結構!
不自由な生活だなんて御免だね!









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