「そこまで驚くことですか?
アテナの聖闘士ということは神という存在にも慣れてるのかと…てっきり。」
「そういう問題でもなかろう。
それにおぬしが完全に気配を消しているということもあるだろう。」
「神の姿では不便ですので。」
ポセイドンとあっさり話しているティア。
それだけで、本当に只者ではないということがなんとなくわかった聖闘士たち。
「だが、その姿もなれんな。
…頼むから神衣を着てくれ。」
紫のカーディガンとワンピース姿を一度見てから、再びため息をつくポセイドン。
それを苦笑交じりに見てから己の姿を見下ろすティア。
「せっかく買っていただいたのでもう少しきていたかったのですが…しょうがありませんね。
天界に帰ったらまたきましょう。」
その言葉と同時に、彼女の姿がまるでカゲロウのように揺らいだ。
「少し、離れててください。」
真紅の焔が彼女を包んだ。
「!?」
「ティアさん!?」
慌てて駆け寄ろうとした瞬と星矢をポセイドンとハーデスが止めた。
「案ずるな。
今、神衣を纏っているだけだ。」
「も、もえてるじゃねえか!」
燃え盛る火柱を見て、青ざめた星矢はハーデスにつっかかる。
しかし、先ほどとは打って変わり落ち着き払ったハーデスは何でもないように答えた。
「いったであろう。
ヘスティアは竈の神だ。
それはつまり、炎の女神ということ…。」
「聖なる炎を扱うことなど、あ奴にとっては朝飯前だ。」
「そういうことですわ。」
火柱が形を作り、それは現れた。
「改めて、自己紹介いたしましょう今の世のアテナよ。
我が名はヘスティア。
家庭を守る竈と聖なる火の神ですわ。」
そこから現れたのは黒の髪をなびかせ、銀と紅の鎧に身を包む女神の姿だった。
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