なぁ、と、いつになく弱
々しい声色であたしの肩
を叩いたのはクラスメイ
トの仁王雅治だった。

仁王とあたしの席は前後
で、あたしが前で仁王が
後ろ。あらゆるちょっか
いをかけてくる仁王と、
それを相手するあたし。
丸井には「お前らなんだ
かんだ仲良しだよなー。
」なんて言われるくらい
、3Bで定着しつつある
関係だった。

だから今日だって、肩叩
いてきたときは振り向い
たらどうせ「ほっぺぷに
ー」とかやるつもりなん
だろうな、って思って、
あたしは振り向かずに何
ー?って訊いた。
そしたらすっごい小さい
声で「お前さんは、」っ
て妙に深刻そうに話始め
たから、ちょっと心配に
なって振り向こうとした
。が、仁王は詐欺師だ。
振り向いたらこいつの作
戦通りかもしれない。っ
てことで「うん」って言
って続きを待った。

「俺んこと、好き?」
「え?」

ちょっと意味がわかんな
い質問がきたからとりあ
えず聞き返した。

「俺、みょうじのこと好き
、かもしれん。」

次の授業の用意をしなが
ら聞いてたのに、その言
葉で記憶が一瞬でぶっと
んだ。あれ、次英語だっ
け?いや数学?

いや待って待って
これは、つまり、告白?

あまりに唐突かつ小声な
告白に、周りは誰一人気
づかず、茹でダコみたい
に顔を真っ赤にしたあた
しだけが黙って固まって
いた。

「…これは冗談じゃない
ぜよ。」

いやそれくらいわかるっ
て。冗談だったらマジ仁
王他界決定。それに、今
まで伊達に仲良しやって
ない。本気か嘘かくらい
ちょっとだけわかるよう
になったんだから。


これ大事な話だよな?じ
ゃあやっぱ振り向こうっ
て思って首ひねったら、

案の定頬にツン、と違和
感。

やべまさかの騙された!
って思ったけど、その違
和感は指の感触?じゃな
かった。もっといえばツ
ン、じゃなくてちゅっ、
的な。

視界の端っこに見えたの
は目ぇ閉じてる至近距離
仁王。
周りがきゃあきゃあ騒ぐ
のもうるさいと思わない
くらい放心状態だった。

「好いとう。」
「マジ、でか……」
「マジぜよ。迷惑かの。


え、むしろ超嬉しいんで
すが。




詐欺師の恋人昇格

(とりあえず心臓落ち着け!)



110120

久々(笑)




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