「俺と付き合ってください。」

精市にそう言われてから、もう
3年が経った。それから今まで
ずっとお付き合いしてきた。



だけど、もう何日も精市には会
ってない。

精市は海外の大会に出るために
、先週から日本にすらいないの
だ。年を重ねるごとにこんなこ
とは増えていて、期間もだんだ
ん長くなっている。
「ああ自然消滅ってこうやって
起こるのか。」とか、なんとな
く思っていた。

「……はぁ」

憂鬱。
カレンダーをみるが精市が帰っ
てくる日は変わることなく明後
日だった。


なんとなく長時間放置していた
携帯をふと思い出して、開く。

「は?!」


着信:52件


ご、52って、え?

普通ありえない。しかも発信
源は、

「精市、精市、これも精市…」

52件全て「幸村精市」。
国際電話はお金がかかるから遠
慮しているし(精市は不満そう
だったけど。)、よっぽどのこ
とがないとかけてこない。
もしかして、何があった…?

不安になってかけ直そうとリダ
イアルを開いた瞬間、携帯が震
えた。

着信:幸村精市

「もっ、もしもし!ごめんあた
し携帯みてなくて、えっと精市
何かあったの?大丈夫?」

一気にまくし立てると、返って
きたのは小さく『…ぷ』と笑っ
た声だけだった。

「電話出ないから、何かあった
んじゃないかって逆に心配した
よ。」
「あ、ごめん……って、え?」

精市の声は、受話器口にじゃな
くて、何故か後ろから聞こえた
。通話終了のツーツーという音
と、精市の声が重なる。

まさか、

「せい、いち……」
「ただいま。」

幾日ぶりかにみた精市は、変わ
らない微笑みで、あたしを抱き
しめた。

「なんで?明後日のはずじゃ…

「さっさと勝って帰ってきちゃ
った。それにそろそろお前が寂
しくなる頃だと思ってね。」

ふふ、と笑って、あたしの唇を
奪った。ああ、このキスは間違
いなく精市だ。

「…お帰りなさい。」
「うん。それでさ、結婚してく
ださい。」
「……は?!」

びっくりして精市をまじまじ見
る。いつもの微笑がない。

「ほん、き?」
「勿論。」
「でも、あたしなんかで…?」

そりゃああたしだっけ出来るな
ら精市のお嫁さんになりたい。
だけど、不安のほうが大きかっ
た。
精市は世界の人で、あたしはた
だの一般人。それで、あたしは
精市の妻として支えられるのだ
ろうか。

「ばかだなぁ」

精市にいつもの微笑が戻って、
もう一度あたしを抱きしめた。

「言い方変えるよ。俺の側から
離れないでください。」
「え、っと、」
「だからさ、俺が寂しいんだよ
。海外にも、勿論連れてくから
。一時でも離さないから。」

だから、結婚して。
一生俺だけの物になって。
俺もお前だけの物だから。



ならば、喜んで。
(好きになって、ならせてくれて)
(本当にありがとう。)


101130

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