「あ」
放課後、なんだか屋上に
いきたくなってその扉を
開いたら、風と共に見慣
れた銀髪が目に入った。
仁王雅治。この学校で銀
髪なんて奴しか見たこと
がない。だけどその見慣
れた銀髪は仁王ではない
気がした。
「やーぎゅ?」
「・・・仁王なん、じゃが
。」
後ろから不意にそう呼び
かければびくりと肩を揺
らし、ばればれの嘘をつ
いた。私にはお見通しだ
。こいつらのイリュージ
ョンだって。彼氏の変装
くらいわかんなくてどう
するの?
「嘘はいいって!」
私はわかってるから!と
笑いかけると、仁王・・
・の顔した柳生は困った
ように息をつまらせ、や
がて負けた、と言うよう
にため息をついた。
「・・・よくわかりまし
たね。」
「バレバレだよ、ふふ。
」
そう笑顔で言えば、柳生
も苦笑して、静かに私の
顎に手を添えた。
「貴女くらいです。変装
も見抜いてくれる女性は
。」
「だって柳生の彼女だも
ん。」
「さすがです。」
優しく微笑んだ柳生はそ
のまま私と唇を重ねた。
柳生が仁王ぽくする為か
、はたまた柳生自身がし
たかったのか、空には無
数のシャボン玉が舞って
いた。
シャボンディ・シャボンディ
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