「蓮二、キスして。」
「ああ。」

ちゅ、と軽いリップ音のあと、
次第に深く深く口づけられる。
蓮二の熱い舌に口内を犯される
感覚に酔いしれて、ずっとこう
していたいと強く思う。

「っん、ふっ・・・」
「・・・」

鼻に抜けるような甘い声が自分
から漏れ、くちゅくちゅと唾液
と舌が立てる音とそれだけが部
屋に響く。

「れんじっ・・・ぎゅってして」
「ああ。」

愛しい彼のYシャツをぎゅっと
握って、抱きしめてくれと頼む
。そうしたら彼は強く優しく私
の体を包んでくれた。

「蓮二・・・名前、呼んで?」
「ああ。・・・彼方」

そう呼ばれただけで胸が満たさ
れるように熱くなって、立って
いられない程に幸せを感じた。
でもまだ足りない。もっと、も
っと愛されたい。

「蓮二、好きって言って」
「・・・」
「蓮二・・・?」
「・・・すまない」

わかっていた。

どんなに蓮二がキスしてくれて
も抱きしめてくれても、それは
私が好きだからじゃないの。

「優しい」から。

蓮二が私を好きじゃないなんて
わかってた。優しい蓮二は優し
いから嘘がつけないんだ。



ああ、なんて馬鹿なのかしら。

わたしも、あなたも。



愛≠優しさ
(貴方の瞳が悲しげに揺れた。)


100814

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