「これ作ってみたん!」
じゃーん!と白石が満面
の笑みで差し出してきた
のは、綺麗にデコレーシ
ョンされたホールケーキ
だった。しかもご丁寧に
「なまえちゃん」ってネ
ームプレート付き。
私今日誕生日だっけ?
「なまえちゃん甘いもの
好きって言うてたやろ?
だから作ってみたんや。
」
確かに言った。言ったけ
ど、手作りケーキって?
なんか凄く悪い気分。っ
てか白石ケーキとか作れ
るんだね。
「ありがとう・・・」
「あんま嬉しくない?」
悲しそうに瞳を伏せて、
上目使い気味に私を見て
くる。ちょ、どうしよう
めっちゃ可愛い。
「苺嫌いやった?」
「う、ううんっ!好きだ
よ。いきなりでびっくり
しただけ!」
それでもう一回ありがと
う、って言ったらみるみ
る笑顔になって、
「自信なかったん。喜ん
でもらえて良かったわ!」
と。
か、可愛い〜!
っていうかこのケーキ、
見れば見る程完璧だ。さすが聖書。(?)
「白石ー、何しとんの?
」
「おー謙也、なまえちゃ
んにプレゼントしてたとこ。」
「ふーん。てかここ破け
たー。」
「また引っ掛けたん?」
「わからん。」
「ほれ、貸してみ。」
「頼むわぁ」
しゃーないなぁ、とか言
いつつもまんざらじゃな
い感じで、白石が自分の
鞄からソーイングセット
を取り出した。って、え
?
「縫いもの得意やねん。
」
マイソーイングセットっ
てことですか?
「はい終わり!」
「おおきに!」
「あ、謙也。今日帰り夕
飯の材料買いに行きたい
んやけど。」
「自分ホント料理好きや
なぁ」
白石って良いお嫁さんに
なりそうだなぁ。
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家庭的な白石、たまらん。