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【太宰】
 決して瞼から美しき瞳が世界をうつす事はない。閉じた唇が季節を噛むことも、音を奏でることもないのだ。全ては終わりのない夢に墜ちて、君は帰ってこない。
「夢で逢えるのならば、私は喜んで夜明けを捨てるのに」
 嗚呼、何時だって君は私の後ろに居た。如何して先にいってしまったんだ。

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