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【芥川】
「僕は悪魔、故にお前と共に在る事は出来ぬ」
 ステンド硝子を通して降り注ぐ光が彼の異様さを色濃く映す。
「…罪人になっても、楽園に辿り着けなくとも…愛する事はやめられないのです」
 一歩、彼との距離を縮め、少し震える唇に触れた。その甘さは、楽園に実る禁断の果実の味に似ていた。

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