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【独歩】
 夏の最後を飾るのはいつも決まっている。
「終わらない」
「あれだけ遊んでいれば終わるはずがないだろう」
 机と向き合う私を見下ろす彼の瞳は冷たい。
「泣き言を云っても課題は減らないぞ」
 突き放す言葉と裏腹、机に置かれたコップの中身は「しっかり終わらせろ」優しさが溶け込むココア。

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