02
Love and a cough cannot be hid.
【太宰】
友人は死に際に彼女の事を私に託した。
「会いたい、会いたい…あの人はどこなの」
穏やかな夜にそぐわない悲しい声が部屋から聞こえる。扉に寄りかかりながら、ふと呟く。「彼女の心まで墓場に持って行くなんて、ずるいじゃないか」
未来永劫、彼女の心が私の物になる事はないのだろう。
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