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【太宰】
 嗚呼、神様。この実る事も伝える事も出来なかった想いに意味はあるのでしょうか?なかった物と同じなんではないでしょうか?彼の残した黒い外套を抱きしめる。穏やかな夜はいつも彼の脱け殻に囲まれた。まるで彼に抱きしめられているようで。
「太宰さ、っ」
 泣き疲れて眠る日々を重ねる。

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