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【中原】
 夜の訪問者がいつも惑の近くに薔薇を一本ずつ置いて行く。それが数えたら今日で百八本目になる。
「よぉ」
 微笑んだ矢先、彼がいた。
「今晩は。今日で百八本目よ」
「…チッ、此やる」
 薔薇を抱えていると乱暴に小さな箱を投げられる。
「いいか、一回しか云わねェからな」
 俺と結婚しろ。

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