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【乱歩】
「はぁ」
 何回目かの溜息をついて、彼女は花瓶に花を生けた。その重い溜息の理由を知る名探偵の僕は、横目で彼女を見た。事務員である彼女の憂い帯びた横顔、誰かも想う瞳。
「はぁ」
「あのさぁ!さっきから君の溜息で部屋が重くて仕方がないんだけど!」
 新聞を畳み、睨みつける。

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