22

 

【薬研】
「薬研、想い人と友人はどう違うの?」
 恋物語を読んだが、その境界線ははっきりと見えなかった。
「主は刀にそんなことを聞くのか…まあ、あれだ」
 普段は手袋の下で眠る白い指が唇に触れる。
「友は言葉を、想ひ人とは唇を重ねるってな」
 と曖昧にはにかむ彼の指先は、確信を撫でた。

-174-

[*prev] [next#]
[TOP/]