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【山姥】
 時間あれば、空間を埋めるかのように彼女の唇は音を紡ぐ。俺にはその言葉の一つ一つが何を意味し、何を形どっているのかわからない。
「唄が好きなのか?」
「どうかな…もしかしたら、昔の私は歌手になりたかったのかも」
 自分の事なのに他人事のように話す理由を写しの俺は聞けてない。

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