11
Love and a cough cannot be hid.
【山姥】
時間あれば、空間を埋めるかのように彼女の唇は音を紡ぐ。俺にはその言葉の一つ一つが何を意味し、何を形どっているのかわからない。
「唄が好きなのか?」
「どうかな…もしかしたら、昔の私は歌手になりたかったのかも」
自分の事なのに他人事のように話す理由を写しの俺は聞けてない。
-163-
[
*prev
] [
next#
]
[
TOP
/
栞
]