07

 

【山姥】
 彼女はいつも桜の下にいる俺を見ては、柔らかく微笑む。何がそんなに嬉しいのか聞けば、頼りない両手が頬を包む。
「春の淡い桜、初夏の緑を宿す瞳、山を染める山吹色を吸い込んだ髪、纏うのは深雪」
 四季を彩る全てを持っている貴男が美しい。なんて
 「っあんた、恥ずかしくないのか」

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