05

 

【山姥】
「あんたの手は冷たいな」
「そうですね」
 言い方があるだろう、と言葉を音にしてからいつも後悔している。それを知らずか、彼女は穏やかに頷く。
「自分の体温はわかるんですよ」
 初雪の体温を持つ手が頬へ伸びる
「やっぱり、冷たいですね。山姥さんも」
 神と人は体温を分かち合えない。

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